カプチーノ撃ち抜け!
「カプチーノ」
「はい」
いつものように注文をする彼。
「お待たせしました」
そう言いながらカプチーノを出せば静かに口をつける客。
ずっと見るわけにはいかないから私はスッと立ち去る。
「待て」
すると呼び止められ返事をする。
「今日何時に仕事が終わる?」
「終わる?」
ナンパか。
ナンパなのか。
「ナンパじゃねェ」
口に出していたようだ。
「えっと……」
返事に困っていると客はもう一度カプチーノを頼み「書け」と言われた。
「カプチーノにですか?」
「あァ」
そんなことを言われても私はカプチーノに文字なんて書いたことなどない。
「う……と」
なんとかカプチーノに漢字で十と書くと客は満足したようで上出来だ、と褒める。
「じゃあ次はローへ、と書け」
「内はメイド喫茶じゃないんですけど」
毎日毎日よくも飽きずにここへ通えるものだ。
お客様として丁寧に扱ってあげているのにすぐに調子に乗る。
この客の名前を前から知っていて、客も私の名前を知っている。
しかも何かと構ってくるのだ。
「じゃあご主人様と呼べ」
「カプチーノ顔面にぶっかけられたいんだったら」
「フフ、ツンデレか」
「店長ー、確かエアガンって持ってましたよね?」
(ついでにあんたも撃ち抜いてあげる)
(ヤンデレか?)
(メイド喫茶行け!)
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