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おうちへ帰ろう


「じゃあ私からね……カラス」

「スミレ」

「レース!」

「砂」

「ナース!」

「スター」

「タンス!」

「……なんでさっきから『ス』ばっかりなんだよ」

「ローくんを嵌める為」

「最悪だな」

幼なじみのこいつがしりとりをやりたいと言い出したので仕方なく付き合ってやればこうだ。


「違うやつ考えろよ」

「え?しりとり嫌い?」

「さっきのやり取り思い出せ」

そう言えばこいつは「そうだった!」と納得する。
本当に馬鹿だ。
でもそんな馬鹿に付き合うのは幼なじみとか、そんな類なんかじゃない。

「海賊ごっこする?」

「それは未来になるからやらねェ」

俺の言葉にそうだね!とニコニコと笑う馬鹿。
そんな馬鹿は俺は嫌いじゃないが。

「あ、結構暗くなってきたね!」

「あァ」

「早く帰らないと怒られる!お母さんに!」

「じゃあ急がないとな」

適当に相槌をしていればふと繋がれた右手。

「じゃあ走ろう!」

「は?まっ、待て!」

いきなりの事に自分まで走らされるハメになった。
でも、いつもより景色が違ったり、繋がれた右手をついつい見てしまったり。
こんな気持ちはこの馬鹿のせいであって、けして俺のせいではない。


(仕方ないからこれからも付き合ってやるよ)


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