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ずっと一緒、なんて言ってやらない


「待てよ」

「やーだよ〜」

俺はあいつを追いかけようと足早になる。

けれど

「ロー、遅いよー!」

あぁ、また彼女が遠くなる。

俺が寂しさに立ち尽くしていると、彼女が走り寄ってくるのが見えた。

「どうしたの?」

「……」

「ロー?」

俺は名を呼ぶこいつを見ながら、これから俺は、彼女がいない未来がくることを想像していた。

もう、俺は強くなった。
これから先、海へ出る。
こいつは連れて行かない。

いや、連れて行けない。
なにが強くなった、だ。

もし、一緒に海へ出て、こいつが命を落としたら。

強がりな自分。

臆病な自分。

こいつはなにも知らず、俺に真っ白な、綺麗な目を向けていて。

見ていられない。

「なぁ……」

「なに〜?」

ほらな。

また純粋な目をする。

「……なんでもねェ」

俺は汚れている。

命よりも大切なヤツさえ、守る自信もない。

こいつは泣くだろか?

そんなことを考える資格さえ、いずれ失う。

だから、今この時、こいつの笑顔をしっかり頭に焼き付けておこう。









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