07
ユースタス・キッドがこの島に滞在し、すでに五日経過していた。
ランのいるこの島のログは二週間で貯まる。
つまり、あと一週間と二日までキッドを捕まえるか島を出ていくのを待つ。
「なんでこんなにあんたと出会う確率が高いのよ」
「こっちの台詞だ。なァキラー?」
「違いない」
賞金稼ぎが周りに倒れているのを見ながらランはため息をついた。
キッドが来てから被害が増すばかりだ。
「あんたを逮捕するわ」
剣や銃を使うにはキッドの能力では相性が悪い。
ランはそう思うと素手で戦う体制になった。
「おいおい、まさか素手で闘おうなんて思っちゃいねェだろうな?」
「そうだけど?」
ランは余裕の表情でキッドを見ると、キッドは呆れたようにバッと手を上げた。
「みんな!武器は離さないで!!」
「は、はいっ!」
後ろで待機していた海兵達はランの言葉に必死に武器を抱えた。
それでも少しずつズルズルと磁力によってランに向かう海兵達。
ランもそうはさせない、とキッドに攻撃を仕掛ける。
「やっぱり三億なだけはあるわねっ」
ビュン、とナイフが飛ぶ。
だがそのナイフはキラーによって弾かれる。
「石か……考えたものだな」
キラーが落とした石で出来たナイフを見て呟いた。
ランはフン、と笑う。
「貴方達専用に作ってあげたわ」
「そりゃ光栄だな」
着々と金属を集め、腕の形を象った塊がラン達に大きな影を落とす。
キッドはニヤリと笑うとそれを振り下ろした。
「逃げるわよ!」
ランの言葉に海兵達は弾かれたように逃げ惑う。
砂煙りを上げ、迫る攻撃にランはなんとか避ける。
しかし、巻き込まれかけている海兵にランは駆け出す。
「っ!」
ドン!と海兵を強く押して、ランも一緒に端へ行く。
その時、瓦礫の一部が背中に当たり強い痛みが全身に走る。
「うっ……く」
庇った海兵は気絶しているようで怪我はないようだった。
それに安堵したランは激しい痛みとともにプツリと意識を失った。
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