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17


ランはその声を確かに知っていた。
相手と刃を交わしているが、振り返らずにはいら
れなかった。



「なんだァ、てめェ。俺様の邪魔しようってのかァ?」

「ハッ、誰が弱ェ奴の邪魔なんて事すんだよ。暇人じゃあるめェし。なァ、キラー?」

「違いない」



相手はその会話に逆上したようだった。
標的を変え、赤い人間に視線を定める。



「俺様を誰だかわかってんのかァ!」

「こっちの台詞だな。お前こそ俺が誰だかわかってもの言ってんのか」

「言わせておけばっ。てめェらァ!こいつをぶっ叩けェェ!!」



うおおー!とデイブリッド海賊団が海兵に攻撃をするのを止め、一人に向かって突進する。
いや、一人ではなく二人と言った方が正しいだろうか。



「ユースタス・キッド……殺戮武人……」



何十人もいるデイブリッド海賊団と二人だけのルーキー。
兵力も各が違う。
だが、力の差は歴然であった。



「ふん……随分と舐めた真似してくれるじゃねェか」

「腕が鳴るな。久々だ」



身体が鈍っていたから良い運動になると呟いたキラーが最初に動いた。



「うわああ!」

「なんだこりゃァ!武器がっ」

「くそっ、飛んでく!」



キッドが悪魔の実の能力を発動して相手の武器を次々に引き寄せていく。
己の腕に集まった金属にニヤリと悪魔の笑みを携える。



「悪魔の実だとォ!?」



グリップが悲痛に叫ぶ。
すると、デイブリッド海賊団の一人が蒼白の表現で思い出したように呟く。



「こいつ……ユースタス・“キャプテン”・キッド……!」

「ぐあああ!」



気付いた時には既に遅く、キッドの一撃が敵を翻弄する。
ドオオン!と凄まじい地響きと砂煙が舞う。



「っ、ユースタス・キッド……めェ」



グリップが最後の抗いとばかりに血だらけの顔を上げてキッドを睨みつける。



「お前は俺のもんを横取りしようとしたんだよ。ハッ、ざまァみやがれ」



嘲笑うキッドにグリップは何かを感じたのか身体をガタガタと震わせた。



「おい、てめェ」

「……気安く話しかけないでちょうだい」

「部下の前だからか?ハハハ、てめェも大変な事だな」



馬鹿にしているとしか思えない言葉にキッドを強く睨むラン。
海兵達も両者を固唾を呑んで見ている。



(それにしても面倒な事になったわね……)



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