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ランは今、重大なニュースに頭を抱えていた。
それは、先程まで自分が座っているデスクの前で数分前に恭しく敬礼しながら事を伝えに来た海兵の言葉のせいである。



『デブリッド海賊団が、つい数分前、この島へ上陸したとのことです』



デブリッド海賊とは、最近まで東の海を荒らしていた厄介な海賊団である。
それを率いるのは、賞金首が千二百万ベリーという、まだ低めな金額をかけられている船長“穴蔵のグリップ”。
能力者かどうかは今だ不明だが、早めに策を練るに越したことはないだろう。
弱くたって強くたって、海賊は皆同じなのだ。
少なくともランの中では。



(でも、あのチューリップは……)



唐突にキッドの顔が脳裏に浮かんだ。



「て、何を考えようとしてたの!私っ」



慌てて自分の考えを振り払う。
危ないところだった。



「問題は、どうやって海賊を罠に嵌めるかね……」



気を取り直して再び頭を回転させる。
相手は極悪非道の人間。
手段なんて、選んでいられないのだ。
ランはデスクに置いてあるヨウカンを爪楊枝(つまようじ)を刺す。
それを小さく切って口に入れる。



「ん〜……最高……!」



ランは甘いモノが好きだが、得に和菓子が好きだ。
疲れた時や仕事終わりに糖分を身体に与えている。



「ここの和菓子は、やっぱり絶品ね」



変わらない美味しさに舌鼓を打った午後三時。
それから、ランは作戦の図と内容をまとめて自室を出た。
一分も経たない間に着いた扉。



――ガチャ



扉を厳かに開けると、そこは小さな会議室。
ランが事前に収集をかけた海兵達が座っていた。



「お待たせしました」



ランは小さな教卓のような場所に立つと、周りを見渡した。
海兵達は、どこか緊張に背筋を伸ばしている。



「まだ仮ですが、作戦の内容を提示します」



この駐屯場で、最高位である軍曹のランは凛として述べる。
一部、どこか上の空で熱い視線を寄越している海兵もいたが、なんとか詳細を説明した。



「では、質問がある方はどうぞ」

「はいっ」



一人の若い海兵が手を上げた。



「ユースタス・キッドは、どうするのですか?」

「相手は億越えです。むやみに手を出すのは厳禁であり、やむを得ないでしょう」



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