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「で、わざわざ私に会いにきた理由は?」

「たいした事ではない。ただ、気になっただけだ」

「……話が見えないんだけど」

「お前がキッドに気に入られた理由を知りたいというだけだ」

「そんなの、私の方がユースタス・キッドの思考を理解してるわけないじゃない……」



怪訝にキラーを見るラン。
そんな難解な質問など、ランだって答えが知りたい。
何故、自分があのチューリップに構われるのか。
怪我をした時だってランをキッド達は介抱した。
不可解過ぎて理解できない。
海軍を助ける海賊など――。



「貴方達は無法者よ。どんな意味があっても私が仲間になる事はないわ」

「違いない」



キラーがどちらの意味で同意したのか、仮面で隠された表情では判断することは敵わなかった。








***







「だ、そうだ。キッド」



とっくに、この場から歩き去った海軍の人間を遠目に見ながらキラーは近くにあった木陰へと問うた。
すると、陰から出て来た我等の船長。



「お前も細かい奴だな」



キッドが無表情に近い仏頂面で言った。
何が細かい、と文句の一つでも言いたいキラー。
自分は二番手の位置にいる幹部だ。
船長よりも慎重なのは当たり前。



「キッド。お前が行き過ぎるんだ」

「ふんっ、海賊が行き過ぎも何もあるかよ」



キッドは、そっぽを向いて港の方へ歩き出す。
嘆息をして、その後を追う金色。



(全く……お前が一番鈍い……)



ランには甘い。
無意識だと尚更だ。
怪我を治させたり、船に便乗させようとしたり。
今まで女という人間にはここまでしなかったくせに先程の態度と比較すればする程、明らかな違いがある。
キラーは相容れない敵同士の海軍の女性を思う浮かべて、またため息をつくのだった。



「キラー!行くぞ!」



自分の前を行くキッドに催促され、軽いはずの足どりが重く感じた。
やれやれと思い、少し期待しても罰は当たらないだろう、とも思う。
キラーは、もう一つの未来を導き出し、賭けに出てもいいんじゃないかとさえ思った。
たとえ、先に困難が待ち受けていようとも。



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