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16
島か指し示し導かれた春島『ブロデ島』。
この島は山が多く、それも鉱山に富んでいてブロンドが名産の島だとベポとシャチが言っていた。
早速町に向かいバイト先を探す。
ペンギンがローに付いていくよう命令されたと言いバイト探しを手伝ってくれている。
ローが来ることも勿論出来たが彼は自分が賞金首だと素性がバレると雇われないどころか海軍に通報されるのが落ちだと面倒そうに言ってペンギンにリーシャを任せたわけだ。
安全なバイトとして無難なカフェに目をつけ入り店長と言う女の人に話しかけて交渉する。
入り口でペンギンに待ってもらい数分面接を受け、終わるとすぐに彼の元へ行き駆け寄った。
どうだったと聞かれ指先で丸を作るとペンギンに良かったなと言われ嬉しくて強く頷く。

「明日から来て欲しいって、短期でも歓迎だって言われた」

そう船に帰ってペンギンに言ったことをそのまま上機嫌に伝える。

「そうか」

その一言だけだが部屋で話している時の無言の空間は嫌ではなくローが自惚れではなく自分を大切にしていてくれていることを知っているのでそんなぶっきらぼうな返事も寧ろ彼らしくて好きだ。

(好きの反対は無関心……かー)

嬉しくてニヤニヤしているとローは怪訝に見てくる。
また黒い虎になってはくれないかと頼もうかと思ったが、代償が自分の事なので安易に口に出せなかった。

「ロー、ねぇ、ギュッてしたい……」

(されたいけど本当は)

ローが頻繁にそんな甘い包容を普通の状態でする事はなく、こちらから攻めないと反応を返してくれないのだ。
彼はこちらを向く事はなく勝手にしろと言うのでぎゅうう、と抱きつく。
そしてある事を考えて彼の頬にちゅっ、と唇を軽く押し当て直ぐに離す。

「……ごめん。もしかして怒った?」

こちらに向いて暫し無言で口を引き結ぶ顔と数秒過ごし、あまりにも反応がパッとしないので苦笑。
しかし、彼の頭の上にピョコンと獣耳が出現してくれたおかげで杞憂だと安堵した。

「不意打ちで驚いただけだ」

「そっか……あ」

いつの間にか彼の尾骨から尻尾も出ていた事に、身体へと絡められた事で知る。
するりするりと動き、揺れる尻尾に腰を厭らしく撫でられ赤面した。
こういう事を平然とされ、今だ慣れないローの誘惑に翻弄される。
ドキドキと鳴る心臓に幸せだと泣きたくなった。

「どうした、泣いてんのか?」

「これは、し、幸せ泣きっ」

「……そりゃあ贅沢だな」

フッと優しく笑うローに涙を流す理由を更に助長され、頬に伝う感覚に泣くつもりなんてなかったのにと慌てて涙を手で拭う。
けれど、その前に手を一回り大きな手に掴まれ上を向くと、先程と変わらない優しい表情をした彼と目が合う。

「泣ける気持ちは拭えねェんだ。これくらいやらせろ」

キュッと指先で涙の後を拭う感覚と瞼に近付くローの唇に気付き、反射的に目を閉じる。
そっと触れる感触にまた泣きそうになった
_16/21
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