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- ナノ -
08
「おは、よー……夕方だけどね」

ネガティブな挨拶にダルダルと言えばベポが疑問を投げ掛けてきたので思わず眠たい目もカッ、となる。

「リーシャはキャプテン起こしに行くと時々帰ってこなくなるな?」

「おいベポ野暮ったい事聞くな。キャプテンはな男でおまけに体力もある。だからきっと、せーよ、ぶ!」

「およよシャチさん私の手が勝手に動いたんだよ、ごめんねえええ!ベポ、私がローを起こしに行くと帰ってこなくなるのは私もローに釣られて寝ちゃうからだよ。おかげで今日も良い夢を見ちゃったんだよ」

「そっか、夢を見たいから遅くなるんだな。やっぱリーシャは女だな」

余計な事を言おうとしたシャチを特性グーパンチで間一髪で阻止してベポにサンタさん式の知恵を与える。

(そして私は起きる前にしっかりローの寝顔を拝んできた)

一人親身に頷いているとベポが次の島についてローに相談したいと呟くので詳細を尋ねる。

「どういう島かはもう解ってるの?」

「うん。次の島はな極寒だ」

「「なぬ!?」」

シャチと声がハモる。
確かこの船に乗っている船員はノースブルーだとかいう冬の地域のような場所に住んでいた者も多い筈なのだが。

「寒いの駄目なの?ノースブルー?出身なのに?」

「何でノースブルーの発音が疑問系なんだよ。別に特別得意でも何でもねーつの。寒いもんは寒い!」

「そんなんでよくノースブルー?で生き残れたね……普通に関心すわ」

「だから何で疑問系なんだよ!?しかも生き残れるわ!厚着して外歩くのが普通なの!ベポの方が寒いの得意文野じゃね?」

「まァツナギも着てるしある程度は……大丈夫だと、思う」

どことなく頼りない発言もあるがそれなら外へ行くときはベポと行かせてもらおう。
そう計画を立てていると扉が開く音がして振り返れば噂の人物が現れる。
ベポは嬉しそうにローへ航路の相談をするのでリーシャも次の島が極寒でも楽しみで仕方がない。
わくわくしているとベポと話終えたのかこちらへやってくる。

「コーヒー」

「シャチさんローがコーヒーご所望ですよ」

「え、俺が用意すんのかっ」

「誰でも構わないと思うぞ」

ベポの最もな意見にそうだよと便乗してシャチにコーヒーを入れさせる。
たまにはやってもらわないとリーシャが居なくなった時に困るのは船員達だ。

「ロー、新聞読む?」

「ああ……ちっ、ユースタス屋の記事を寝起きに見るとは不快だ」

「会ったこともないのによくそこまで毛嫌い出来るよねえ?そんなに嫌ってるのが逆に不思議に思えてくるんだけど」

朝一から配達された新聞には昨日起きたニュースが載っているのだが懸賞金が三億を越えていて極悪人の顔を浮かべている真っ赤な髪や目が印象的な人がいた。
その人を前々から大々的に嫌っているローを常々首を傾げながら疑問に思っていたのだ。
それを口にすると彼はシャチが持ってきたコーヒーを受け取りながら嫌々言葉にする。

「目立ちたがり屋な上に生意気だからだ」

「それ印象だけで言ってるでしょ」

「生意気な事件起こしてやがる」

「生意気生意気ってこの人ローとおんなじくらいの年に見えるけど……あ、ペンギンさん?」

いつの間にか近くに立っていたペンギンがこちらを気まずそうに見ながら何か言いたげに口を閉口したりパクパクさせる。
ハテナマークを頭上に浮かべはて、と考えるが彼の言いたい事は全く検討がつかない。
やはりどうしたのだと聞いてみるとペンギンはまたもや口を閉口し引き結ぶ。

「おい、ペンギン。ユースタス屋が本当は俺より年下って事くらいはっきり言えよ。くくく」

喉で笑いながらローが述べた事実に開いた口が塞がらない。

「え、ええええ?……え?う、嘘おおおっ、はい嘘!」

「年齢で嘘ついて何の得があんだ」

そう突き付けられうっ、と反論出来ずにその事実を信じざるおえなかった。
_8/21
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