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ハートの海賊団side

『おい!あれボードじゃねェか!?』

『双眼鏡寄越せっ……あっ、マイとヨーコだ!』

『と、取り敢えず報告とあいつらを引き上げろ!』

数日前の騒ぎをローは思い出していた。
運良くこの船の進路と合致し、尚且つ、ハートの海賊船が浮上中だった。
報告を受けたローはそこへ駆け付ける。
何故二人しか居ないのだろうと。
話を聞けば海賊船に襲われ、最悪な結末を回避する為にリーシャが囮となって身を差し出したという事らしい。
奴隷、もしくは肉体を欲していたそいつらの様子からしてタダでは済んでいないとの事。
それらを含めた絶望的なリーシャの事を聞いて無意識に歯を食いしばった。
やはり、こうなってしまったかという事を思う。
彼女は元から自己犠牲が酷くあった。
それが女二人というものを抱えた途端に更に悪化。
いつ、彼女達の盾になっても可笑しくはなかった。
あの時、抱いて自由にしておく事などしなければ良かったと後悔。
そのまま船に乗せておけば良かったのかもしれないと今更思う。
あの後も彼女は何もなかったかのように部屋を後にした。
結局いつ物にしたって変わらなかったのだろう。
ローは「助けて」と懇願する彼女らを説き伏せてから船員達にカウンセラーを頼む。
酷く焦っていて、何をしてしまうか分からない精神状態だ。
ローは自室に戻ると、取り敢えずその船を追いかけるのも難しいと判断してログポースの示す島に停める事を決めた。
船員達は困惑しながらもローの指示に従いその島に降りる事となった。
そうすると、どうだろうか、彼女達は凄く驚いた顔で停泊している内の一つの船に反応を示した。

「あの船!私達を襲った船です!」

「私達の船も括り付けられてるじゃない!?」

ヨーコが駆け寄ろうとするのを寸でで止め、今は特攻するのは得策ではないと説明。
彼女らは渋々従う。
嘗てローの元部下だったお陰で物分かりがよくて助かる。
今は兎に角情報が必要だ。
そう判断したので二人にはホテルで待機、顔が割れていない船員達を動かした。
本当は本音を言えばローは助けるのは止めようかと考えていた。
そうすれば幾ら彼女だって危機感を覚え自己防衛本能を目覚めさせるのではないかと思っている。

(いや、あいつは根っからの自己犠牲を持ってるか………)

考えてから溜め息を吐いた。
とてつもなく面倒な事に巻き込まれた気がする。

「船長……集めてきました」

船員の早い帰還に眉根を寄せる。
どうやらリーシャを浚った海賊は酒場でアホみたいに言い触らし自慢しているようだ。
そんな奴に身体を触られる等許せない。
ローのプライドが刺激される。

「ちっ……もう面倒だ……乗り込むか……」

ローは今すぐ殴りたい衝動に駆られた。
それを必死に顔に出さないように気をつけながらマイとヨーコを監視しとくように伝える。
もしも、何かを衝動的に起こせばローの計画に支障を来す。
邪魔されない為にも押し止めておく必要があった。
扉が閉まる音を聞きながらどうしようかと思案。
このまま乗り込むのも良いかもしれないが、人質にされても困る。
能力で取り返す事も出来るが、と考えていると船員から追加の情報が入った。

「……海に飛び込んだ、だと?」

「はい。酒場で男がそう言っていたと」

ペンギンから聞いた内容は絶望的なものよりかはマシに思えた。
慰み者として連れ去られた訳ではないのなら、まだ良い。
死んだ方がマシだ。
死なれた方もマシだ。
男は探す事もせずに船だけ貰ってきたと息巻いていたらしい。

「船は手筈通りに奪還する。元を辿ればこっちの物だしな」

金を出したのも頼んだのもロー。
所有者は彼女達だとしても出資者はこちら。

(それにしても、発狂しちまうかもな)

もし、リーシャが海に飛び込んで自殺をしたと聞いたら探し出すかもしれない。
見つかるとも思えない海をずっと探し続ける事を考えると伝えるのも躊躇してしまう。
このまま嘘を言い、何とかする事に移行したいところだ。

(面倒臭ェ)

慰めるのもローの役目ではないので船員達に押しつけるとして、残りは彼女の安否をしっかりと把握しとくべきか。

「船長。突撃準備完了です」

「あの二人は大人しくしてるか」

マイとヨーコの様子を確認する。
どちらも大人しくしていると聞いて立ち上がった。

(上手く死ねたなら褒めてやるが……死んで無かった場合は監禁して○○潰してやる)

恐ろしい計画、予定を立てるローはニヤッと笑みを浮かべた。

「楽しいオペ(戦闘)になりそうだ」
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