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- ナノ -
33
リーシャは自分の船に居るので近寄られても船で隔たれている状態。

「な、何ですか……皆して……」

大勢に詰め寄られて気が強がれるような性格でもないので怖い。

「いいじゃねーか少しくらい!」

一人が意見する、三人の事に口出しして欲しくない。
ましてや船員に、更に彼女達に戦闘を教えた彼らに。

「いいえ。譲れません。もしマイとヨーコがそちらに居たいと言うのなら……私は此処に残ります」

マイとヨーコに向けて「どうする?」と聞く。
意見は出来るだけ反映したい。
そして、そっちに当分居たいのなら居たければいい、リーシャ無しで。

「……そりゃね……」

「でも、リーシャさんだけ残して……」

ヨーコもマイも渋る。
先程まで不満げだったのにこの子達は……と苦笑。
別にリーシャの事など無視してハートの船に移れば良いものを。
真面目なんだな、と嬉しくも悲しい。

「別に近くに居るし、ずっとそっちに居る必要もないよ。好きにして」

結構投げやりというか、放棄気味なのは分かっているが、こう言わないと彼女達は下せないだろう。
足手纏いなのはリーシャだけなのだ。
まだ決断出来ない二人を見てから再度同じ台詞を言った。

「グダグダ言ってねェでお前さえこっちに乗れば全部解決する」

後ろからローの台詞が流れてきて後ろを向く前に首根っこを文字通り捕まれた。
そして船に強制的に移動させられた。
何と強引、自分は自船に残りたいのに。
抗議の表情を浮かべてローを見ると彼は喉で笑って「そんな目で見られると襲いたくなる」なんて言うもんで慌てて顔を崩す。
それにまた笑う意地悪な海賊船長はやることだけやって甲板から去る。
自船に戻ろうかな、と考えているとマイとヨーコに片腕ずつ拘束されて戻れなくなった。
最初から逃がすつもりはなかったようだ。
暴れるのも馬鹿っぽいようで暴れるのは止めた。
このまま大人しくしている方が楽だし、何よりご飯が満足して食べられるハートの海賊団なので御馳走にあやかるのは当然。
ベポもお昼寝すると言うので同席させてもらおう、そんな予定をブラブラと組立てつつ二人に、宇宙人みたいに甲板の扉の前に連れて行かれる。
扉を開けたと思えばそのまま三人に宛てがわれた部屋へ直行。
どうやら先程の戦闘で疲れていたらしくパタリとベッドに倒れる二人。
まるで温泉旅行に来た気分になる。
リーシャも船が新しくなって大きくなり、更には船内に居ても外の気候に左右されなくなったので大分楽になった。
見張り台も上に備え付けられたので一々船を回らなくても良くなった、とても簡略化された。
ベッドへ入ると眠気が来ていつの間にかスヤスヤと寝てしまう。
油断したのか気が緩んだのか。
どちらでももっと気を引き締めねばと思うが、この船に居れば海賊に襲われても生存率はかなり高い、つまり寝ていても戦いは終わっている強さ。
流石はルーキーと世間で持て囃(はや)される訳だ。
十分に寝ると自然と目が開く、すると隣に居る相手が彼女達ではなくローだった。
しかも身体に抱きついているという状態だ、いつ来たのか。
マイとヨーコは部屋の中に居ないのでもう起きて活動しているのだろう。
ローの寝顔を見る事にした、所謂鑑賞だ。
どうしてこの人はこんなに隈があるのだろうと気になってつい手を伸ばしてしまう。
ユルリと人差し指で隈を沿ってなぞるとパシッと手を掴まれた。

「!」

驚いて手を引っ込めようとしても離してもらえない。
寝ぼけているというより起きている気がする、多分。
危機感を感じていると彼の目がスッと開く。
やはり起きていたらしい、早く手を離してと言う前に彼は何と人差し指を口に含む。
前にも似たような事をされた、それを思い出して背筋がムズムズする。
カアッと顔に熱が集まる、凄く恥ずかしくて目を反らした。
起きているのは確実で、指を抜くにも抜けない。
ビクともしない指はこの際捨て置こう、ローを視界の端で見てみると薄く目が開いて茶色と黄色が混ざったような色の瞳が見えた。

「っ!」

スッと瞳を細めていて、その目は愉しげに且(か)つ、色気や熱を発している。

「ひゃっ」

途端に指先に舌が触れて絡みつく感触に小さく悲鳴を上げる。
叫んだらマイやヨーコに気付かれてしまうので耐えた。
この恥ずかしい状態を見られるのは避けたい。
きっとそれを感じ取ったのだろう男は更に調子に乗ってきた。
指から口を離したローは粘着質な音を立てて濡れている指を舐め取る。
ゾクッと背筋に色事の感覚を感じてもっと顔が赤くなる、こいつめ。
恨めしい視線と咎める視線を向けても相手は楽しそうに口元を上げるだけ。

(抵抗しなきゃ)

頭では分かっていても男女の差のせいで埋められない攻防。

「くくく……」

「何笑ってるんですか」

相手が余裕でいるのにムカついた。

「可愛いと思っただけだ」

「マイとヨーコなら分かりますが、年齢的に私に可愛いと言われても嫌味に感じます」

可愛いだなんてそこそこの歳であるリーシャに言われてもあまり嬉しくない。
そう口にすると彼はまた言う。

「じゃあ言い方を変えるか?良い女だ」

馬鹿にしているのか、この人は。
掌の上で転がされているこちらにそんな風に言うなんて。

「もう良いです。ローさんとは今後から口をきき、んんんん!」

また途中で唇を塞がれた。
この人は都合の悪い事を言おうとすると直ぐに身体を動かすタイプなのだろう。
キスをされてグデングテンになった所でケロッと部屋を出て行く姿を恨みつらみを吐いて見送った。
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