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- ナノ -
02
「で、実はカクカクジカジカ……というわけなんです」

「お前……カクカクジカジカなんて説明で通じると思うなよ……今どきそんな説明の仕方ねーわ」

シャチに言われ仕方なく金欠だとシンプルに告げれば皆は成る程と腕を組む。
ベポにも記者って大変なんだねと同情され何度もそんなんだよ!と頷く。
するとずっと黙っていたローがこっちに来いと言う。

「やだなローさんや。私はヘルプ担当ですから、そこの御姉様達を侍らせて下さいよ」

「客の注文に反論してんじゃねェ」

ローと周りに居る女達に凄まれ渋々隣に行けば自然な動作で肩を抱かれた。
不可抗力にも程があると言うが酌をしろとコップを差し出され仕方なく注ぐ。
お客だからって記者と追う側がこんな事をしているなど新聞には乗せられないなと内心思った。
ブーブーと文句を垂れながら晩酌をしていると不意にローが隣にいる女性店員へ聞く。

「この店は持ち帰りはいいのか」

「ええ、構いませんよ」

「え!私はヘルプ専門で良いってオーナー言ってたんですけどおお!?」

ジタバタともがきローから離れようとする。

「ぐぎぎっ、ちょ、契約違反!」

オーナーも近くに居るのだけれどそれなりに札付きの海賊が相手だからか助けてくれない。
もう、後から絶対給料を上乗せしてやると悪態と恨みを呟く。
しかも、持ち帰り!
持ち帰りって!と大事なので二回言う。

「もー!やですよ私は!」

そう言うがローは聞こえないと腕を掴んだまま立ち上がりリーシャを店の外へ連れて行こうとする。
ひでえ、とベポ達に助けを求めるが彼等は手を振るだけでなにも言ってくれなかった。

「んぎゃあ!ローさんに食べられるうう!」

「騒ぐなアホ。本当に食われたくなきゃあ大人しくしてろ」

呆れた顔でズルズルと腕を引かれることに何故か虚しさを感じ騒ぐのを止める。
ハートの海賊団が泊まっているのだろうホテルが見えて中に入れば迷うことなく部屋へ向かうローに恐る恐る尋ねた。

「まままさか本当にお持ち帰りとか嘘ですよね!?」

するとローはニヤリと不適に笑い部屋の扉を開けるとリーシャをベッドの上に放り投げる。
これはヤバイと本能が告げるので降りようともがけば彼が馬乗りに身体を跨ぐ。

「えええ!じょ、冗談ですよねローさん別に女性に飢えてないですよねっ」

ひやりと冷や汗を背中にかきながら論破すればそれがどうしたと言われ次の言葉が不発に終わる。
私なんて選ばなくても選り取りみどりだと言いたい。
トラファルガー・ローという人は顔も実力も申し分がない程ある。
町を歩けば美女が擦り寄ってくるくらいは日常茶飯事なのだ。
罵倒を考えている間に男の手はスルスルと剥き出しの太ももへ侵入する。
慌ててストップをかけても男女の差では勝ち目などない。
喚けばピタリとギリギリのラインで手が止まりそこでやっとローの顔をまともに見た。
めちゃくちゃ真面目な顔付きなので驚く。

「私……ローさんに失礼なことしましたかああ?」

涙声で問えば当人は腐る程なと言い余計に不安が煽られる。

「た、例えば何ですか!」

「この格好」

「へ?」

と、これまた予想外の事を言われポカンとなる。
酒場で働く時はいつもこの姿だし、今まで可笑しいとも言われたことがなかった。
なので普通だと思う。

「酒場では当たり前ですけど……」

「あ?」

「ごめんなさい当たり前じゃないですよねはい」

凄い勢いで睨まれ竦み上がる。
ここまで睨まれるとそんなに酷いのかと自信がなくなってしまう。
けれど金欠はどうにもならない。

「金がそんなに必要か」

「だって私はしがないただの記者ですよ?お金がなくなると困りますもん……」

彼だって長年の付き合いでいつもリーシャがひもじい事を知っている筈だ。
目元をハの字に下げお手上げだと息を吐けばローは胸元を隠すように布団を渡してきた。

「……あれ、興が覚めちゃいましたか?」

「本当に抱いてやろうか?」

「滅相もございません!」

何となく言えばまた上に乗っかってきたので慌てて首を振ればフフフ、と笑われた。
別に抱いてやってもいいとか言われたがそれはお断りしますと言う。
こんな女よりももっと美女を彼は選ぼうと思えば選べる。
選択肢を狭くしてはいけない。
そんな事を思っていると顔面に重い重石のようなものが降ってきてぎゃうんと声が出る。

「色気のねェ」

呆れ果てた声に袋を持ち上げればチャリ、と金属音がしたので蒼白になる。

(あわわ!これは結構ヤバイ!)

どう見ても、聞いても金目のもの。
急いでローにいらないと押し返すと彼はじゃあ抱かれるかと言うので首を何度も横に振る。

「それも嫌です!っていうか貰う理由がありませんっ」

この男の考えている事が読めなくてワタワタと世話しなくお金が入っている袋を遠ざける。

「あれも嫌、これも嫌ね……お前はつくづく頭の悪い選択肢を選ぶな」

クツリと喉で愉しげに笑うローの言葉に自分でも勿体無い事をしていると自覚しているが、知った仲なので余計に距離が掴みづらいと言うだけだと思った。
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