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変な輩に絡まれて少し精神値がゴリ、と削られたがそれ以外は大丈夫である。
明日また試合が行われるがそれまで時間もあるのでバイト無しの休日を貪ることになっていた。
雪に体力を削られて消耗が思いの他激しいのでどっちみちやれそうにないのは幸いだ。
雪と水は特に体力を大幅に持って行くので厄介。
宿に行きベッドにボスンと埋もれる。
二人の少女は下の階にあるお土産の店を回っている。
寒い島なので食べ物の店も中にあるのだ。
冷たい空気に当たった後は何というかぬくぬくして眠たい。
気持ちの良い眠気に満足だ。
この疲れた感じと眠気は少し癖になりそう。
直ぐに眠れ、次に起きた時は夕方の光がカーテンの様に揺れていた。
窓から反射しているからそう見えて幻想的に感じる。
気持ちが凪ぎ、気張っていたものが今は溶けている気がする。
なんというか、安心感が全体的にマッサージしてくれているような。

「ただいま、起きた?」

「良く寝てましたね」

扉から二人が入ってきて尋ねてくる。
そっとしてくれたらしい。
良く眠れた。
穏やかな気持ちで欠伸をしてベッドから降りると彼女達が街で食べ物を買ってきたという。
この部屋にはキッチンがあるので己達で調理出来る。
島特有、その料理を作るのは決めている。
今回は冬島なので魚とイチゴが安くて仕入れられる。
キッチンには魚やイチゴがコロコロとあるので、何を作ろうかと悩む。

「イチゴと魚」

ヨーコが悩み口調で言うとマイがどうしよう、と呟く。

「ケーキでも作る?」

助け船にすらならないが言ってみる。
まあイチゴだけではどうにもならないけれど。

「ケーキよりもスムージーは?」

ヨーコがイチゴの使い道、マイが魚を塩焼きにしようと言うので決まった。
塩焼きは好きだ、シンプルだし。
何より手間が掛からない。
サクサクッと済ませて食卓に乗せて自分達も座る。

「食後はイチゴのスムージです」

もぐもぐと食べてしまえばあっという間に食べ終わる。
イチゴのスムージもググ、と飲めた。
食後まったりしていると眠たくなってきた。
寝たのになぁ、牛になっちゃうよ。
あ、もしかしてふくよかになればローも愛想を尽かしてくれるかも。

「あんたまたしょうもない思考が動いてるでしょ?」

ケラケラと笑うヨーコにムッとした。
確かに考えてはいるがしょうもなくなんてないよーだ。

「ふふ。楽しそうな事ですか?教えて欲しいです」

「高カロリー沢山摂取しようかーなと」

何となしに、そう、何となしに発した。
ただ、ポンっと。
だから、二人がその発言に硬直してしまうだなんて。
全くの予想外の反応に恐る恐る声を掛けた。

「どうしたの?ねぇ、え?」

何か可笑しな発言はしていない筈だし。
もしや何かの地雷を誤って踏んだのか。

「じっ、実は、最近体重が、ふ、ふ、増えて」

そこまで言いづらそうに言わなくても。
しかも吃り過ぎなのだが。
ちらりとヨーコを見ても同じ言葉を発しかけて、どちらも目下動揺中なのだろう。
予期出来たにしても、何と言えば良いのか。
安易に思ったことを言ってはいけないような。
黙りをしては肯定したと思われてしまうので適当妥当なニュアンスでぼかしておこう。
命は、惜しい!

「じゃあ、今日からダイエット強化月間にする?」

「え?強化?ですか」

己に害はない方法でやれば、何とか落ち着いてくれる筈だ。
ヨーコも興味ありげにこちらを見ていて、にこりと二人に笑みを向ける。
この島は雪が降っているし、それを逃す手は無い筈だ。
雪投げはとっても体力を使う。
それを利用すればどうにでも出来るだろうと言うと二人とも喜んだ。
二人とも考えつかなったのね。
ははは、と得意気になってきて、雪を乗せたソリを引いたり雪掻きすれば得にもなる。
特に付近の人達の手伝いをすればそれこそ仁徳ひに繋がるのではなかろうか。
スラスラと自分でも行き当たりばったりな提案が出て来て、妙案ではないかと嬉しさに口角が上がる。
二人も納得をする内容だし、やれそうだ。
無理も無さげで、今からしてくるとさえ、言いそうで明日から、ね、と言い含め、今は腹筋でもしときなさいと諭しておく。
二人は頑張り屋であるから、やる気は明日に回させないとどこまでも深々とやるだろう。
本当に腹筋をし出したので驚いたが、いつもの光景なので後は各自分別しながらやるのは知っていたのでリーシャはベッドの上で本を広げた。



雪合戦の本選当日。
前よりもギャラリーは多く、賑わいを見せていた。
あの時絡んできた男女も居てどこか不機嫌な様子で佇んでいた。
もしかしてあの後大人に叱られたりして。
だから不貞腐れているのかも。
メシカと呼ばれていた子はこちらを睨み付けていて、謂れのない、覚えのない睨み付ける攻撃にげんなりとなる。
マイ達を見てみるとメシカは見えていないが睨み付けていて、今にもメシカへ特攻しそうに思えてこっちに集中しようと対戦相手を見据える。

「男子五人か………でも、人数の都合で三人」

五人組なのだろう。
けれど、こちらが女三人なので三人と調整されたのだ。
三人の男達は昨日の戦いを見ていないのかニヤニヤ笑っていて明らかに舐めに来ていた。
全く、分かってないのはそっちだ。
二人が戦力的に過剰なのを知っている身ならば安心して男達を倒してもらえる。
ほら、ハートの彼らも応援に、って。

「え、何でローさんも?」

彼は昨日見かけなかったし興味がないのかと思っていたのに、人が寄らない空間の真ん中にその人は居た。
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