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計画は簡単で兵さえ何とか出来れば姫は脅威でない。
とは彼女達の話し。
アリサは閉じ込められているわけでないので直ぐにでも助けられるとのこと。
後は相手が酔えばどうとでもなる。
その時を待つしかないだろう。
ローには姫の相手をしてもらい気を逸らしてもらえばスルッと行くだろうと想像も容易い。
同じ様な事を言うのは忘れないように覚える為だ。
記憶は悪い方ではないが良くもなくだ。
再三確認する為に繰り返してやらねば作戦に支障を来す。
先ず寝るところに案内されたら速やかに抜け出しまたまたそそくさと行動して人質を救出。
の、手筈なので魚系の男に先導されて寝る場所へ向かう。
無口な方が声でバレなくて済むので何も言わずに歩く。
三人分の足音を響かせていて男はズルズルと引きずる音がしている。
そこはかとなく緊張するが耐える。
お腹がキリキリする、こういうのは得意でないのだから当然だが。

(早く部屋に着けー)

ローは今頃どうしているのだろうか。
無の境地に達している。
部屋に着くと用事があれば呼んでくれと言われ分かりましたと返す。
そんな気遣いが出来るのなら違う所に使えと内心毒づく。
パタムと扉を閉めて一段落した視線からの解放に肩を揉む。
お酒が足りんな、と中年ならば言う場面かもね。
だが、こんな緊迫した雰囲気では飲むのも暢気に出来ない。
全部終わったら沢山飲んで憂さ晴らししよう。
そこからマイ達がリーシャに部屋で待機しているようにと言われたので頷く。
俊敏さがいる今回では残念ながら足を引っ張るので耐えて待つしかないだろうなとは思っていた。
リーシャは見張りが万が一にもこの部屋に来てしまった時の為にも居ないのをバレない様に声を出すという欠陥を補う役目を受けて二人を見送る。
作戦は聞いていただけなので何をするのか理解しただけでも安心出来るし。
二人に気を付けてと見送り安堵の顔で部屋へ残るとベッドに二人分の偽装を作りそこに寝ている風を装う。
これなら見られても寝ていると思う筈。
まあこちらは起きている風を装い部屋を覗かせないようにするが、念には念のためだ。
仏のポーズで待機していると僅かに扉前で何か音がして片目を開ける。
もしかしてもう連れ戻しに来てくれたのか。
期待値が高まり扉を見ているとコンコンと控えめな音が聞こえてハイと応えドアノブを握り開ける。
二人と一人の帰還にわくわくしているとソコに居たのは。

「あの、夜分遅くにすみません」

「…………………え」

そこに………居た………のは………嘘だ。

「こ、これはこれは………姫様。如何なされました?」

立っていたのはなんと、ローと居た筈、ローをターゲットとして話していた女性だった。
服のモチーフであるウラシマさんとこの深海にいるお姫様みたいな物を召している。
それをユラユラさせてどうやら誘惑しているらしく胸を寄せて谷間を作っているのを見せられてしまう。
同姓にされても複雑な気持ちなのに。
これは困ったと辺りを見回してお付きの者はと聞くと一人で来ましたとのこと。
お疲れさまお疲れさまー。
遠い目で内心この苦行をどうしようと思っていると突然目の前居た女が女っぽく抱きついてきた。
トラファルガー様の隣に居た貴方が気になって来ました云々と伝えられて胸にふくよかな胸が押し当てられる。
普通なら馬鹿にされているとしか思えぬ行動だが、羨ましい気持ち。
双方のたわわな物を感じていると視線が感じ取られ廊下の方角を見るとイエローブラウンが射抜いてくる。
ゴクッと喉が鳴るのを感じた。
ヤバいローが見ているではないか。
どんな気持ちがそこにあるのか不明だが睨みつけてきている。

(離れて欲しい!)

その間にも目元を蕩けさせた女が夏に放置していざ、飴を食べようとしたら包み紙が本来の役目を放棄してネチっこく剥がすそれを彷彿とさせるくらい離れない。
冷たく追い払うのもどういう言葉を言ったら良いのか分からない上に、あしらい方さえも分からないので決め手を決めあぐねていると更に抱きつく力と潤んだ瞳が顔に近付いてきて戦慄。

「カウンターショック」

ーーバリバリ!

ーードサッ

ーードサッ

リーシャまでもが電撃を喰らい床に倒れる。
悲鳴さえも上げられない程の衝撃に顔を辛うじて上げると気絶したらしい姫を足蹴にして彼がこちらを見て居た。
月の光と蝋燭しかないので眼孔がヤケに光っているような不気味さ。

「おれの前で口説こうなんて良く考えたな」

姫に言い聞かせている声音で嘲るロー。
今何か言うと絶対にローの逆鱗に触れると本能が告げてきていて口を開くまいと成り行きを見る。
そう言えば何で姫は気絶したのに己は意識が保たれているのだろう。
もしや、手加減されたか?
いやいや、普通に衝撃的なものだった。
ということは、耐性という代物かも。
うわ、嫌な耐性だ。

「おいおい、気絶しねェとは」

「ぅ」

舌も痺れていてマトモに発音出来ない。

「まァ、良い」

彼は一言呟き自分を担ぐと姫を廊下に足で蹴り、追い上げ、部屋の扉を閉めた。

「女に欲情するとは予想外だ」

「ぐ」

モフッとベッドへ寝かされて布団を被せられる。
その為だけに姫を眠らせたのか、と疑惑が浮上。

「お前に触れて良いのはおれだけだろ?」

どうにも病んでる風がするのだが。
もう直ぐキスという寸前、彼はヒタリと寸止めして離れていく。
珍しい事もあるものだと内心感じていると扉が開く音にだからか、と納得。

「あ、船長さん」

「ちょっと、扉の前のオンナ邪魔」

ヨーコがウザそうに良いながらマイに続いて入ってくる。
今度は帰ってきたようだ。

「あ、トラファルガーさん。あれトラファルガーさんの仕業ですか?私にもお願いします」

奉仕服のままのアリサの発言には皆スルー。

「ミッションコンプリートだ。とっととこんな湿った所出るぞ。酒も対して美味くねェ上に野郎だらけなんて金すら払う気も起きねェ」

「「はい」」

皆、返事する相手を間違えてるよぉ。
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