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75
ベポ side

今日のまとめ
記入者 ベポ

キャプテンがキレて白衣の男を沢山バラバラにして【ピー】で【ピー】に【ピー】して【ピー】【ピー】てた。
追記。
次の日読み返したら文字が殆ど黒く塗りつぶされていた。
誰が黒く塗ったんだろう。

ハートの航海日誌より抜粋


シャチ side

リーシャという記者は一言で体言するのならズバリ『不幸体質』だ。
本人も認めているので公認であった。
公認してしまう程彼女の人生は不幸が敷き詰められているとしか思えない。
この間は宝石にされてたし、今回は変な科学者風な男に騙された。
本人はまだ目覚めていないので騙されていた事など知らないだろう。
寧ろ知らないままの方が幸せかもしれない。
今回は特にそう思う。
今回何をされたのかと言うと、あの変態科学者でリーシャに告白したという(本人が手口の一つだと自白した)経緯で彼女を実験のモルモットにした。
被験者に相手の同意を取らずしたという行為に勿論ローはブチ切れた。
宝石事件よりもかなり血管が浮き出ていたので比較し易い。
その男の末路は口に出来ないが自業自得だと思う。
何せローの女(お互い特にそれを認めた訳ではないが)に手を出したのだ。
何かの病原菌だったならばヤバかったが、そういう訳ではない。
後にその出来事は門外不出となったが、男と見るや媚びを売ったり艶めかしく迫ったりする手練れ『ヒロイン症候群』という症状を引き起こす薬を飲ませたらしかった。
聞いた時は何の冗談だと笑ったが、起きたリーシャを見てから目が取れるのではないかと錯覚。
開いた口がなかなか閉まらなかった。
確かにいきなり近寄ってきてニコッと笑ってきた時は「あ、この笑顔違う感じだ」と鳥肌が立った。
その間に次々と船員達の間を行き交い猫撫で声で媚びた仕草をし出して認めるしかなかったのである。
こういう事が起きないように見張っていたのに、相手に薬を盛らせてしまった失態はデカい。
告白した相手がまさか何かをしてくるなんて、なんて、なんてベタな展開に巻き込まれる女なんだ。
と思った。
ローが急いでヒロイン症候群になったリーシャを押さえて回収する。
その際も男好きという面とイケメン好きというのがローに当てはまっていたからか、ローにも甘い声を出していた。
きっと彼女が二人居、いつもの方がそれを見ていたならば鳥肌を立てて海に吐いてからもう一人の自分にかかと落としか張り手か、海に投げたりしていただろう。
それ程有り得ない光景だった。
甘い声に胸へとしなだれ掛かられたローの顔は満更でもなさそうだったのでこの病はローに至福しか与えないのだろうと思った。
女神はローに微笑んだらしい。
シャチは去っていくローとリーシャを見送り船員達と安堵の息を吐いた。



ロー side

変な男に引っかかったリーシャを自室に監禁した。
軟禁するには症状が深刻だ。
何でも男好きで誰でも誘ってしまう性格になる薬を飲まされたから。
自分の物にした筈の彼女が他の男に媚びを売る姿なんて見たい訳が無く、症状のせいでそうなっているのも含めてローしか居ない空間にするしかなかった。

「ね、ローさ〜ん」

「?」

甘い声で普段では考えられないような、首に腕を回してくる行為に一瞬息を呑む。
彼女は熱の籠もった目でクラクラとしそうな色香を漂わせる。

「私、ローさんの事好きぃ」

あの科学者は何を思ってこんな薬を飲ませたのか。
飲ませる対象を選び間違えたとしか思えない。
けれど、悪い気は感じない。

「くくく、お前の口からそんなのが出てくるとはなァ?」

「ん」

唇を合わせてきたリーシャに微かに驚いたが、自ら飛び込んできた事を無碍にする程ローは理性が堅くはないので欲しいならば与える。

「んん」

強請るように押しつけられて、迫られるのも悪くないと思った。
このまたと無いチャンスに普段ならば絶対に出来ないあれやこれをさせられるし、出来るのではないか。
ニヤッと笑みが浮かぶのが止められなかった。



***



いつものように目が覚めると隣にローが居て、自分は記憶もないのに下着姿だった。
内心混乱して(え?え?)と自問自答しても何も思い出せない。
目の前に居る寝ている本人に聞いたら色々と聞きたいが、この姿から察するにあまり楽しい話では無さそうだ。
となれば、此処は何もなかったかのようき振る舞い何があったかを聞かず去る事を選んだ方が良いかもしれない。
ソロリソロリとベッドから降りると散らばっている服に頭が猛烈に痛くなる。
まさか酔ってこんな事になった訳ではなさそうだ。
記憶が飛ぶくらい飲んだのならば今頃酷い頭痛になっている筈。

「なかった事にならないがな」

モヤモヤとしたまま思考していると背後から寝ていた筈の声が聞こえギクリと肩が跳ねる。
錆びたゼンマイのように首を動かすとさも楽しそうな笑みを浮かべたまま頭を手で支えて横になっている男。

「な、何も、無かった筈です……から。だって、記憶無いですし……」

「あ?無いのか?記憶が」

眉をギュッと寄せて不服そうに聞いてくるローに頷くと更に口を引き結ぶ。

「……まァ、それが一番良いか……というか、好い加減こっち来い」

「えっ」

下着姿なのに来いと良われて服を着出すと「着るな」と言われる。

「いやいやいや!着なかったら下着だけですけど」

「だからどうした。今更恥ずかしがる間柄か?フフフ、胸をデカくしてやるよ」

良いことを思い付いたみたいな言い方は止めて欲しい。
困惑しながらもこんな姿で近寄る度胸も無いのでそそくと服を着る。

「良い眺めだったのに着やがって……」

エロいローは無視だ。
セクハラで訴えてやる。

「何だその目は。この二日間は楽しんだ癖に瘴気に戻ったらこうなるのか……」

さっきから何を言っているのか分からない。

「ご飯食べてきます」

「俺も食べる。この部屋に持って来い。お前も此処で食えよ」

「えー」

「また可愛がってやろうか、あ″あ?」

「持ってきますごめんなさい」

チキンな心臓は従う事を考えるまでもなく選択した。
スタタッと部屋から出て急いで食堂に行くとそこに居た船員達の視線が絡む。
何だか皆警戒しているような目で見てくるのでおはようの言葉が出せなかった。

「お前、もしかして……元に戻ったのか?」

怯んでいると恐る恐るその家の一人が聞いてきた。
何の事が分からないが、しっかり意識が有るのは確かだ。

「私から見たら皆の方が可笑しいけど……」

リーシャに怯えたり警戒するなんてどうかと思う。
自分はただの記者なのに、何かを確認するかのように。
まるで人ではない何かを見ているみたいな視線に不審が募る。

(変なの)

「おい、皆……船長が外に出したって事はこいつはいつものこいつになったって事じゃねーのか?」

シャチが言うと周りも確かにそれもそうだと自己完結してきく。
だから、何が何なのか説明して欲しい。

「リーシャー!元に戻って良かったな!」

ベポが抱き付いてきて驚く。

(もう、何なの一体……)

説明をされる事がなかったので尚更今日と言う日が可笑しく思えた。
周り曰くこの二日間の事は禁句というか、門外不出らしく、誰も口を割る事はなかったのでリーシャの中では皆が可笑しかった日として記憶に残る。
後で記憶が無くなる前の記憶を思い出してデートをしていた事を思い出したが、その事を言っても誰も詳しい事を語る事無く謎の空白期間が出来てしまった。



もうそろそろ一人旅に戻ろうかと考えていたらローがリーシャを甲板にグルグル巻きにして放置するという暴挙をしたので唖然となった。
どういうつもりなのだと問うても口に布を詰められて声も出せなくなる。
んーんーと喉で声を出しても船員は全く助ける所か、誰も彼もがリーシャをひたすら無視して居ないものとして扱った。
どんな新手のいびりだと嘆いたけれど、その日の夕方、二人の女の声にぴたりと体が固まる。
ワイワイと賑やかになる甲板に近付いてくる足音。

「プレゼントって何なんですか?……リーシャさん!?」

「ちょっと、どういう事これ!?何でこんななってんの?」

二人の少女は視界に入った塊に度肝を抜かれる。
久々の再会というのに、それはもう生まれて初めてのインパクト有る光景だっただろう。

「ぶはっ!」

布を外されて口から息を吸うと半年ぶりになるマイとヨーコに苦笑を向けた。

「あはははー。久しぶり二人共。元気だった?私は今こんなだけど朝までは普通の生活送ってたんだよ」

「「………………」」

会って早々に可哀想な子を見る目で挨拶を受けた。
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