06
朝起きると何故か半裸のローが居て数分身体が硬直した。
ゆるりゆるりと動き出した脳は取り敢えず服を着ていた事を確認し安堵する。
どうやら昨日の記憶がお酒を飲まされた辺りから全くない。
「何かしちゃったか!……やばあああ」
「朝から何唸ってんだ」
「ぎょあっ。ローさん!起きたなら起きたって申告して下さいよお……」
「色気のねェ声出してんじゃねー。申告する義理もないな」
「む、じ、ひっ」
「無法者が無慈悲の何が悪い」
「いや別にそこまで言ってな、じゃなくて昨日の記憶がないんですけど私何かやらかしました!?やらかしましたよね!」
必死に問うと暫しの沈黙の後特になかったと言われ確実に何かやらかしてしまったのだと落ち込む。
ローはその細身に対し無駄のない筋肉質な身体を動かす。
そこに目が止まりまじまじと見た。
「凄い刺青……!」
「あ?これか……普通だろ」
「いやいやいや!凄くたくさんです!」
興奮して刺青を見ているとローが触るかと尋ねてきて首を振る。
別に減るもんでもねェと言うから少しだけならその刺青に触れたいと気持ちが揺らぐ。
「じゃあ、失礼します……」
胸の真ん中にあるマークの刺青に触れるが特に何かがあるという感じはなく不思議だ。
肩にある部分にも触れるが同じくでこんなもんなのかと感動。
「ローさんが海賊らしい部分を現した場所なんて刀と目くらいだと思ってましたからなんか新鮮です」
「ほう……?」
「え、今のは褒め言葉ですけどどど!」
「くくく、冗談だ」
「わ、笑えない脅し方しないで下さい……」
こうやって身体を見ると凄く鍛えられている。
「あ、私もう行かなきゃ……ぐへ!」
船に戻らなくてはいけないとベッドから降りると何故かローが襟首を掴んできた。
「ちょ、くる、苦しー!」
「また不運に見舞われるとこっちが迷惑だ。俺も行くからまだ行くんじゃねェぞ」
「だから、好きで見舞われてる訳じゃないのにいい……」
そう口にしながらお腹も空いた事に気付きローに食堂へ先に行くと伝え部屋を出た。
「今日の朝食何かなー」
「海老フライだ」
「あ、ペンギンさんおはよーございますっ。今日もイケメンですねええ」
「ああ、おはよう。さっき船長室から出てきたが……」
「!……ローさんとは何にも過ちを犯してませんん!誓います、誓いますっ」
「いや、わ、分かった。分かったから」
苦笑してリーシャにストップをかけるペンギンに誤解が解けたと安心する。
「何してる。行くぞ」
後ろからローがやって来て、襟首をまたもや掴まれて連れていかれる。
ペンギンが手を振ったので振り返すと不機嫌な声音が落ちてきた。
「余所見してたらぶつかるぞアンポンタン。早く飯食え。とっとと船に行くぞ」
「今私めちゃくちゃ理不尽な暴力を精神的に受けてるうう」
涙目になりながらも彼が楽しそう笑うのを見てこっちも笑い返した。