一番星のヒーロー | ナノ
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今日も一段と天気が良く、洗濯日和。
洗濯物を洗濯機から取り出しいつものカゴに入れてベランダに行く。
その途中で黒渕メガネをかけたローがノートパソコンを開いていて、こちらに気が付くと立ち上がる。

「俺も、手伝う」

「執筆は大丈夫?」

「キリがいいところで終わった」

なら良いよ、とオッケーを出すと嬉しそうに頬を緩ませるので釣られてしまう。
カゴを抱え直すと二つの腕が視界に入り前を向くと彼はカゴを持ちたそうに見ていた。

「重いけど、これ…………」

「平気だ。力仕事は男の役目とテレビで言ってたし、そ、それに……俺もなにか役に立ちてェ……」

思いきった台詞に目をしばたかせ、ここまで言われては任せたくなるではないかとカゴを渡す。
危機とした顔を浮かべるローに可愛いなぁ、と内心呟く。
カッコいいというより、彼は可愛いという言葉が似合う。
決して馬鹿にしているわけではなく、愛でたくなるといった感じだ。
そうして考えているうちにアパートの部屋に完備されている中干し専用のガラス張りで不透明な個室がベランダにあって、そこでは雨の日でも乾燥機のシステムがあるので干せる。
サウナと似たようなものだ。
家賃が高めだが便利なのでそれ相応のアパートだと思う。
カゴを何事もなく洗濯物干し部屋に運んだローに付いていき二人で並んで上にある竿に掛けるハンガーを真ん中に置く。
事前に用意しているので本当に助かっている。
洗濯カゴから干す衣類を掴み干すという作業に入ると横で同じく干していたローが引き吊った声を上げた。

「こ、こ……!」

「え?あ、下着…………あー……ロー?」

不注意による、ローがリーシャの下着を見てしまうということが現在起きていた。
既にガッツリ見てしまったらしい彼は下着を指で示しながらそれが女物の下着と理解して顔を赤くさせ、今にも倒れそうな雰囲気。
大丈夫かと問うても返事がない。
別に今更幼馴染みに下着を見られても平気…………というわけではないが、自分より羞恥心に駆られているローを見たら冷静に対処出来た。
これは俗に言う、自分より怖がる人がいると怖くなくなる原理と一緒だろう。
取り敢えず下着をずっと持っておくのもアレなので干してローの方へ近づく。
見えない様に自分のものは干したのでもう彼に見えることもない。

「ロー。もう平気だよ。ほら……」

「っう、本当か?」

「たまに嘘つくけど今回は本当」

敢えて前例を付け足してからいうと彼はやっと顔を上げて洗濯物を見ると立ち上がる。

「…………情けねェな、俺は……いつも」

「そんなことないよ!でも……女の人と出会うには慣れておくに越したことはないかも」

もしも、ローが他の女と共に暮らす時は劣等を克服しないと生活に支障をきたすだろう。
そう思いながら言うと彼は微妙な表情を浮かべ落ち込む。

「そんな未来の事なんて考えてらんねェ。俺は今が良いなら」

「ん?契約違反?」

「う、違っ……」

契約では恋人(仮)になる代わりに女性とコミュニケーションが取れるように精進する、というものだった筈なのだが。
持ち出すとドモるローを更に問い詰めると「分かった」とかなり渋って答えた。 その答えに満足したリーシャは改めて洗濯物を干して終わらせる。
空になったカゴを持とうとするとやはりローが持つと進言したので渡した。
空だから任せても良いと判断し、後を追うように付いてくる彼。
作業が一段落すると次は絵本作家の作業を始める。
とは言っても自分ではなくローの役目なので見守るだけなのだが。
どうやら今回は絵本ではなくキャラの商品化の案件のようだ。
新しい衣装を身に纏うベポの手には包帯が巻いてあるので発売されたばかりの火傷をしたバージョンらしい。
彼はどんな文野に対しても妥協はしない。
文野と言っても予想できる範疇の話ではあるが。
そんなローでもすぐに妥協してしまうことはあって、それは左にある部屋に住むルフィという少年。
いつも彼がローを良い意味で振り回したり部屋の外へ連れ出してくれる。
それがとても頼もしくて有り難かった。




このアパートには有名でありながらも部外者に干渉されたくないという顔が知れている人やそういった人の関係者という人が集まる場所。
勿論、ローは顔こそ出ては居ないが普通に歩いていれば目立つので万が一の防止対策としてここに決めた。
それに、元はと言えばルフィが彼を誘ったのが始まりである。
ルフィも海軍という組織の重役であるガープという彼と良く似た祖父がいるので狙われるといけないという訳ありな子なのだ。
とても天真爛漫で活発な好青年でときどきガープの目を盗み海でそれなりの騒ぎを起こしているらしい。
この前なんてどこから貰い受けたのかサルベージで宝探しをしらしいが果たして見つかったのかは不明だ。
そんな感じの大人から見れば不良な孫、子供から見れば憧れてるヒーローな彼はちびっ子達の人気者だったりする。
それをアパートの下から眺めるローを見る事もあり混ざりたいのかな、と感じることがあって絵本作家は名前ばかりではないのだと染々感じ、彼にとってはなかなか声を掛ける事が難しいのだと同時に感じ取った。


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