06
「リーシャさん」
「ランス神父」
名を呼ばれ振り向けばこの教会の神父であるランス。
どうやら今来たばかりのようで髪が乱れていた。
「髪を整えてはいかがですか?」
「あ、これは失礼。昨日は結婚式に行ったりと多忙で寝ていなくて」
神父らしいと聞かれればまだ若いこの神父はらしくない人だと感じる。
しかし神には忠実でおおらかな人間だ。
リーシャは恥ずかしそうに髪を整えるランスに笑う。
「貴女が来てからというもの、子供達がよく来てくれるようになりましたね」
「そうですね。賑やかで私も嬉しいです」
リーシャが来る前は教会に来るのは年寄りばかりで小さな子供は来なかったのだが、リーシャが読み聞かせをすることで子供が教会に来るようになった。
「ありがとうございます」
「いいえ、私は喜んでもらえただけでも嬉しいですから」
神父なるランスにお礼を言われ気恥ずかしくなるリーシャ。
「これからもよろしくお願いします」
「はい」
お互いに頭を下げる。
この教会にいつまでいられるかわからないができる事をしようと誓った。
ローに毎回誘われても屈しはしないと思いながら。
***
ローは男を誘う露出したドレスを身に纏う女を侍らせながら夜のネオン街から町へ移動する。
後ろには船員が同じように歩いていた。
歩いていればこうして女が寄ってくる。
振り払うことはせずに腰を抱き寄せ誘いに乗るのだ。「船長〜、本当美人ばっかですね」
シャチがローにいらぬ報告をする。
ローはそれに答えることはせず隣で腕を組む美女を見る。
どうやら女は一番人気らしく妖艶なオーラを纏っていた。
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