05
***
「ねぇ、シャチ」
「あ?なんだベポ」
二人は船の甲板で釣り糸を垂らしながら座り込んでいた。
不意にベポの眠そうな声に軽く返事をすればベポは質問の続きを言う。
「キャプテンあの人知ってるのかなぁ?」
「お前本当ストレートだな」
「ストレートでごめんなさい」
「打たれ弱!」
いつも会話になるとベポがネガティブになるのをシャチはすかさずツッコむ。
そして影を背負ってしょげているベポに先程の質問を答える。
「俺も詳しくは知らなねェけど、船長は何か知ってる感じだな」
「リーシャを?」
「そうだろ」
最後の固定を付ければ返ってきたのは白熊の唸り声。
「う〜ん……やっぱり気になるなぁ」
「直接船長に聞いてみたらいいんじゃねェの?」
お前だったら上手く聞き出せるだろうし、と内心付け足すシャチ。
するとベポは突然立ち上がり「わかった!」と船長室に向かった。
「今か!?まじかよ!」
止めに入るシャチ虚しくベポを止めることもままならないまま断念せざるおえなかった。
「あいつマジ足早ェ〜!」
***
ローは横になりながら手にある物を見つめていた。
すると扉の向こうからドスドスとベポ特有の足音にそれを枕の下へしまう。
「キャプテン、キャプテン!」
「なんだ」
「リーシャってキャプテンの知り合い?」
「薮から棒になんなんだ」
「気になってさ。キャプテン、リーシャのこと好きなの?」
ベポの純粋無垢な質問にローはフッと枕を見る。
そして再びベポの方へ向くとニヤリと笑った。
「もちろんだ。じゃねェと仲間に誘わねェ」
「仲間?リーシャを仲間として好きなの?」
かなり詳しい答えを要求するベポにローは小さく息を吐く。
ベポはこんなにお節介な性格だっただろうか。
多分ローがベポに甘いからかもしれない。
「さァな」
ローの心は常に一つ。
ベポの言葉にローは確かな返事をすることはなかった。
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