少し薄暗く、ステンドグラスで色付く光りを受けその場に跪づく修道女。
思わずその姿に魅了され喉がコクリと無意識に動く。
まだこちらに気付いていないのか祈りというものを続けている。
「神よ、今日もありがとうございます」
その声に体の心が反応する。
欲しい、と。
「見つけたぜ」
ゆっくりと建物中に浸透するように声を出せばこちらを向き驚きに目を大きく開く‘修道女’、別名‘シスター’。
海賊でありながら全く無縁の教会に座っているのはこの修道女に挨拶をするため。
「なぜ、此処が……」
喉が張り付いたようなか細い声に笑みが漏れる。
彼女もまさかローがここまで来るなど予想していなかったことだろう。
修道女は怯えと困惑の瞳を揺らし考えあぐねているようだ。
「リーシャ、迎えに来た」
「……」
修道女のリーシャが息を呑む音が微かに聞こえローはまた笑う。
だが、シスターは笑わなかった。
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