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ペンギンが全員の部屋を割り当てると突然ローが異議を申し立てた。



「なんで俺とこいつの部屋が端と端なんだ」



ベポ達を挟んだ部屋割に不服だそうでローは顔を顰(しかめ)る。
それに当然だと印を押したのもペンギンであった。



「一番安全を考慮した黄金比だ」

「黄金比だァ?」



ローは額に血管を浮かび上がらせてPENGUIN帽子を睨む。
リーシャは呆れてものが言えなかった。



「ローさんは魔法使いだから私のピンチに距離なんて関係なく助けに来てくれるって信じてる」

「っ、任せろ」



ノンブレスで言い切ったリーシャにローはクッと拳を握る。
どうやら今の言葉は効果抜群だったようだ。



(ローさんがどんどん扱い易くなってるのは気のせいじゃないな)



リーシャは内心確信する。こうして五人はそれぞれいつものように部屋に入った。







***







ついに氷の神殿に辿り着いた。
ローは部屋の扉を閉め、氷でないベッドへと腰かけると質の良い素材らしくスプリングの軋む音がしなかった。
不意に氷の扉が音を立てたので返事をする。



「マーガレットです。お休みのところ申し訳ありませんが蛇姫様がお呼びしています。来て下さいませんか」

「蛇姫?……あァ、氷の女帝か」



姿を見せたのはリーシャでもなく先程の案内人だった。
用件をローに伝えると一礼する。
何の用だと考えずとも何となく察しがついた。
あの性格にあの荘厳さ。
ローはすぐに立ち上がるとマーガレットはそのまま「こちらに」と歩き出す。
さっき通った道を逆戻りすると広間とは違う部屋に通された。
天蓋のベッドにきらびやかな装飾品。
所々、蛇の形をしたものも置かれている。
その中央にはベッドの上に巨大な蛇がいて氷の女帝が大蛇に腰掛けていた。
ローが無言かつ無表情でボア・ハンコックを見据えると彼女は口を開いた。



「よぉ来たの。魔法使い」

「用件はなんだ。遠回しな挨拶は辞めろ」

「わらわを見てもその態度とは……まぁよい」



ハンコックは大蛇から立ち上がると真っ直ぐローに近寄る。
スラリとした手が頬に近付く。



「わらわと共に世界を手に入れんか?」

「世界を?どうやってだ」



ローは頬に添えられた手を避ける事はせずに口元を歪ませる。



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