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- ナノ -
 
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リーシャ達は朝食を食べ終えると早速コンパスに沿って移動した。
のは、よかったのだが。



「寒いいい〜!寒いよ〜……!」



森を抜けた瞬間、極寒の寒さが五人を襲ったのだ。
吹雪が吹き荒れ進めそうにない。
一度引き返す事を考えたがローが待ったをかけた。



「俺は魔法使いだぞ。忘れたか?」



と、薄いサークルを出現させた。
移動すれば青白いサークルも一緒に動くという便利なもの。
これならテント要らずだ。



「寒さも全く感じない。イケるね!」

「魔物が来ても守ってくれるしな」



シャチが周りを見ながら言う。
雪景色の中、殆ど視界は吹雪で閉ざされている中でコンパスの示す針が頼みの綱だ。
しばらく歩いていると視界にチラリと黒い影が見えた。
よくよく目を懲らすとそれは巨大な建物だった。
それは神殿と言うよりはお城と言った方が正しいかもしれない。
そこへ近付くと更に驚く。



「嘘っ!氷で出来てる!」



全てが氷の造形によって存在していた。
リーシャ達は興奮しながら建物の入口であろう場所に向かう。
そこまで来ると何かに守られているかのように雪がなかった。
ローが魔法のサークルを解いても寒さを感じない。
きっとこの吹雪を降らせる魔法をかけた本人がいる場所だからだろうと皆が口々に言う。
氷の扉は重くて五人掛かりで開けた。
中は外程寒くはなかったが氷の神殿らしくひんやりとしている。
ローが今度は単発で五人に寒くなくなる魔法をかけた。
寒さが嘘の様になくなり驚きの連発だ。



「誰じゃ?」



皆で暖かいね、と確かめ合っていた時。
暖かいはずなのにその声は冷たい響きを思わせる。
振り返ると広間の真ん中にある階段の一番上に女性が一人佇んでいた。
リーシャは思わず息を呑んだ。
サラリとした綺麗な黒髪。
真っ赤な服は白く透明な空間によく映える。
何よりその瞳とぞくりとする顔立ちに身体が震えた。
ただそこに立っているだけなのに切れるような雰囲気に威圧される。



「わらわの城に入る事を許した覚えなどない」



固まって動けないのはどうやらリーシャだけではないようだ。
少なくともシャチとペンギンは同じ状態に感じた。



「俺達は試練を受けに来た」



その中で凜とした声音を発したローが代わりに答えた。



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