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「起きろ」

「ん、んー」

「朝だ。ご飯食べたくないのか」

「食べたい、眠たい」

「ククッ……よしよし、我が儘なお前だから願いを叶えてやる」



夢と現の境に今だいるリーシャが反射的に答えると問い掛ける誰かが布団を退かす。
次に来たのは浮遊感。



「うん?」

「乙女の夢だぞ」



そのままスタスタと歩く振動が伝わる。
やはり瞼が重くて開けられない。



「誰……?」

「愛しのロー様」

「ぶふぇえええ!?」



流石に目が覚めた。
そのまま己の拳を握りストレート!



「ゴフッ……!」



愛しのロー様もとい、ローはリーシャの殴り込みを受けても尚立っていた。



「なんでローさんが私を横抱き!?しかも倒れてないし!」



リーシャはローから部屋の端に逃げる。



「フフッ、お前がなかなか起きて来ないから様子見に来たんだぜ」

「普通の起こし方ー!!」

「これが普通」

「ローさん論外だな!」



はあはあ、と息が切れる。
朝から過激な攻防にぐったりとした。



「とりあえず、朝ご飯食べる、ね……」

「ああ」



あっさり頷くローに肩透かし。
リーシャは疲れ切った表情でロビーに降る。
朝食は水の町らしく蒸した料理が多かった。



「胃が心配。でも幸せ!」

「お前ご飯の時は切り替え早ェな」



シャチが呆れたように苦笑する。



「腹が空いては戦は出来ぬ」

「へーへー」



キリッと決め顔のリーシャを軽くあしらう。
だが、ご飯をたらふく食べられる至福で気にならなかった。



「うまうま、むぐっ」

「これやる」



ローが隣に座って水菓子を渡してきた。
リーシャはそれをじっと見てありがとうと言う。



「あまっ!うまひ!」

「これも」

「わあ!いただきまーす」



ローは次々に菓子を足す。



「そんなに食わして太らせるつもりですか?」



ペンギンがローに微苦笑で尋ねる。



「あァ。太らせて動けなくなったら監禁する予定だ」

「ぶーーーー!?」



リーシャはローの危険思考発言に口の中から菓子を吹き出す。
シャチは「汚ねェ!」と叫ぶが今はどうでもいい。



「ごほぇっ!ごふっ!がはっ!」

「大丈夫リーシャ?」

「大丈夫じゃないよ〜……」



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