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「ゴール!」



マクロ一味を翻弄したボールは吸い込まれるようにゴールへと入る。



「っしゃあああ!クリスタルゲット!!」

「わいら魚人なのに人間に負けるなんて……」

「人間は人間でも勇者と非公認の人間ですから!」



リーシャはふふ、と浮輪を着用したまま腰に手を当てる。



「終わりだよ!勝者、勇者ちん様!」

「やったー!」



ワー!と会場が盛り上がる。
授賞式で金メダルとクリスタルが進呈された。



「ヘルプ使わなかったよ一人でやり抜いたよー!」

「すげェなマジで」

「頑張ったな」



シャチとペンギンが褒めてくれた。
たが、ローは難しい顔を浮かべこちらを見る。
リーシャは首を傾げるとローは優しげに微笑んだ。



「強くなったな」



何故か胸がギュッとなる。
痛みか嬉しさかわからなくて「うん」と頷く事が精一杯だった。
それからお菓子を口周りに付けたままのベポと合流して会場を後にする。



「今回はびっくりするくらい上手くいったね」



リーシャはルンルン気分でスキップをする。
機嫌の良い彼女にシャチも笑う。



「本当、残すところ試練も氷の神殿だけになったな」

「もうそんなに来たんだねー」



ベポがニコニコと改める。
リーシャはあまり実感の湧かない現実に首を傾げた。



「氷の神殿……名前だけでも寒そう。そっかあー、もうすぐ魔王の居場所がわかるんだ……」



魔王退治だけの為に集まった自分達。
やはり実感やら危機感を感じない。
リーシャ達は結局、水族館のショーと名を売った試練をさせられた。
しかし、試練である試合に勝つとその後はちゃんとショーを見せてもらえ満足した。



(後は明日出発するだけ!)



醍醐味の観光を済ませたのだから思い残す事はない。



「じゃあ、後は各自自由行動にしようか」

「「「賛成ー!」」」



ペンギンが閉めに入るとロー以外が手を挙げる。
それから各自バラバラになった。
リーシャはとりあえず部屋に戻る。
試練に一人で参加したのでクタクタだ。
宛がわれた部屋へ着くとそのままベッドに倒れた。



「疲れた……」



モゾモゾと靴を脱いで放り投げる。
布団を引っ張り上げ寝る事にした。



(もう動きたくないや)



目を閉じた。



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