78
リーシャは暫し言葉を失う。
巨体な人魚、顔も綺麗だし装飾だってマーメイドらしい。
だが、なにより巨体過ぎた。
人間が手の平にちょこんといる程度がサイズ。
その横には小さいヒトデ。
ヒトデが動いて話している。
おまけに帽子まで被っていた。
確かホテルの彫刻に同じ形のヒトデがいたはずだ。
「しらほし様はね、姫様なんだよ!」
「マーメイドプリンセス!?」
と一番最初に叫んだのはシャチ。
「シャチ黙っとけ」
「はいローさん」
シャチはギロリと睨まれて口を閉じた。
チキンハートだな。
「ルールについて説明するぞ」
パッパグと先程言われたヒトデが得意顔で喋る。
「ヘルプは三回使えるゲームを今から始める」
「ヘルプ?」
「おーよ!お前は人間だからな。ゲームは水中でやるんだ、だからヘルプっつーハンデを設けた」
「水中ううう!?死ぬ、死にます無理です」
「早ェな。諦めるのは気が早ェよ勇者。ちゃんとクリアできるゲームだしよ」
「私五十メールも泳げない人なんですー!」
「浮輪使えばいいさ」
(浮輪とか沈没するじゃん!)
泣く泣くプールの中に入るリーシャ。
するとまたもや水面がボコボコと膨れ三つの影が現れる。
「あ、紹介するね!試練の相手の――マクロ一味だよ!」
「マクロ?マグロじゃなくて?」
「マクロだボケェ!!」
「タンスイとギャロは関係ねェな」
「あるわボケ!お前らは俺とチームだろうが!」
なんとも大胆不敵な一味だ。
バカッぽい人?魚?が二人いるが。
「マグロさんマグロさん」
「マ・ク・ロ・だっつってんだろ!喧嘩売ってんのか!?」
新鮮かつ弄りがいのあるマクロに内心悪戯心が沸き上がる。
叫ぶ、人と魚の中間点のような彼にリーシャは質問をした。
「腰に刺さってる棒はなんですか?私集団リンチでもされるんですか?」
「アホか!わいらとゲームするっちゅーことケイミーに聞いただろうが!」
「ケイミーいつ誘拐する?」
「これが終わってからでいいだろ。ゲヘヘ」
「てめェら黙っとけ!」
ギャロとタンスイは何やら雲行きの怪しい会話を繰り広げている。
それを一喝するマクロの額には冷や汗が。
(人魚さん達とは仲が良いわけじゃないのね……)
苦笑混じりに笑みを漏らす。
この事を理解して組んでいるのだろうか。
[ back ] bkm