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と、ペンギンが服のポケットから取り出してきた数枚の紙束。



「水族館?あ、チケット五枚ある」



それはよく入館に使われる水族館専用のチケットだった。



「まじ?タダって事か」



シャチが感心した様に笑う。



「まァ、この町は水をテーマに造られているみたいだからな」



ペンギンが推測を披露するのをリーシャはふんふん、と納得しながら頷く。
不意に横にいるローが怪訝な表情をしている事に気が付いた。



「どうしたのローさん。難しい顔して」

「あァ……いや、思い過ごしだといいんだがな……」



ローの発言は独り言に近いものだったので疑問だけしか残らず、それ以上聞く前にアナウンスが耳に入ってきた。



『只今より、クリミナル水族館で海のパフォーマンスを始めます。お越しいただく際はどうぞお立ち寄り下さいませ』



アナウンスが終了するとホテルのエントランスにいた客達が一斉にざわめいて移動を始めた。
どうやら皆水族館に向かうらしい。
そうなればリーシャ達も必然とそこへ向かう事になる。
意外な事に、ホテルの真隣に隣接している建物が水族館だった。



「近っ」



思わず言ってしまうのは仕方なし。
巨大建築物の如くそびえる水族館は外部のみならず内部ですらリーシャの世界であってもお目にかかれない様な豪華さであった。



「うお、でっけーな」

「その分有意義な時間を過ごせそうだね」



シャチとベポの会話にペンギンが入ってくる。



「これがパンフレットだ」



と鍋奉行改め、水族館奉行の役割を確実にしたペンギン。
お母さん、と呼ぶ。



「痛い痛い痛い痛い痛い!!?」



ギリギリと脳が詰まっている頭蓋骨を挟むように頭を鷲頭かまれた。
今回は無意識に呟いたので心を読まれたというわけではないが嬉しくない。



「行くぞ」



水族館奉行に続いて係員にチケットをまとめて渡すペンギン。
後の四人は後ろに待機中。



「あのー……」



係員がリーシャ達をチラ見したら非常に言いにくそうに口を開いた。



「白熊様もでしょうか?」

「そうだが」



ペンギンが淡々と答えると係員は怖ず怖ずと「そうですか……」と言う。
まさかペット立入禁止とか言われるのだろうか。
ハラハラとした気持ちでいると意を決した様な係員が突然頭を下げた。



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