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ノエルの家にお邪魔をして数刻。



「いやァ〜、食った食った」

「シャチ爺臭い」

「ベポ獣臭凄ェな」



シャチに文句をポツリと零したベポが「すいません……」と木の幹に頭を付けて落ち込む。
ノエルの家で豪雨が止むのを待っていたリーシャ達は時を見計らって外へと再び歩き始めた。



「でもさぁ、雨はずっと降ってるよねー……」



止むことが見込めない雨がパラパラと降る。
先程の豪雨に比べれば大した事ではない。
しかし、こうも降り続けると憂鬱な気分になる。



「コンパスの通りに進めば神殿に着く。それまで辛抱するしかないな」



ペンギンが前の試練でエースから貰ったコンパスを片手に言う。



「あああ……エースさんの笑顔が見たいなぁ」

「俺の笑顔ならいつでも見せてやれるぞ?」

「さも当たり前みたいに言わないでローさん……世界中探したってエースさんの笑顔に敵う人なんていないんだからぁ!!」

「恥ずかしいから叫ぶなっ」



シャチが顔を赤くしてリーシャの口を塞ごうとする。
ので避けた。



「いったァアア!」

「シャチ大丈夫?ぷぷ」

「笑うんじゃねェ!」



避けたらシャチが滑って転んだ。
地面がぬかるんでいることを、どうやら忘れていたらしい。



「全くー、シャチはお馬鹿さんだなぁ」

「くっそー……俺は普通だ」

「普通の人は魔王退治には参加しませぇん――きゃああああ!!」



思わず可愛い叫び声を上げてしまったのは不可抗力だ。突然のお腹の衝撃と足が地面から離れる浮遊感。
誰かに担がれた――。
そう認識した時にはロー達が遠くに見えていた。









「は?」



シャチ達は暫し何が起こったのか把握できなかった。
それ程までにあっという間の出来事。



「チッ……追い掛けるぞ!」



一番早く行動に移したのは、やはりローであった。舌打ちでどれ程怒っているのから一目瞭然。



「一体何が起きたんだ?」

「アイヤ〜!リーシャが攫われたよ!?」



ペンギンとベポがシャチと同じ位置で疾走しながら疑問を口にする。



「わっかんねェよ……動物なのかあれ?」

「人だ」



シャチが頭を掻きむしっていればローが苦手な野菜を口にしたような表情を浮かべた。



「それも、飛び切りイカれた奴だ」



ローの不安定な言葉にベポを含む三人は顔を見合わせた。



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