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ローの自慢が始まった。
どうやら、その対象はおもにリーシャらしい。
仕切に彼は褒めろ、と言わんばかりに見つめてくる。



「確かに、ローさんの魔法って万能だよね」



リーシャの、今ある褒め言葉の中で精一杯のフォローである。



「フフ……お前に褒められるのも悪くないな。火拳屋よりも、これで一歩リードだな」

(心の声が零れ落ちてる……)



今だ、エースに闘心を燃やしているロー。
ちらりと、横目で肉を頬張るデンガローハットを勝ち誇った表情で見遣った。



「むむ!エースさんだって素敵ですよっ」

「サンキューな!」



褒められた意味を理解していないようなエースの笑みにリーシャは、くらりと目眩を起こす。



「ま、眩しい!」



ハートを目に浮かべるリーシャにローはムッとした、しかめっつらになる。
それを見たシャチは内心蒼白になった。



「やめろリーシャ!それ以上、口を開くな!頼むからァ!」

「むぐぐぐ!」



シャチは素早くリーシャの口を塞ぐ。
リーシャは、何すんだ!とシャチに睨む。



「ふぇぇふふぁん」



エースさん、と声を出すと肉を頬張っていたエースが助け船かもしれない船を出してくれた。



「どうした?腹減ったのか?肉やるよ」



と、自身の食べかけの肉をリーシャに差し出す。



(間接キス!)



リーシャは内心驚きつつも受け取ろうとする。
が、途中で割って入ってきた刺しゅう入りの手によって受け取れなかった。



「させるか」

「!……さすがっ!いで!」



シャチが絶賛した瞬間、リーシャはかぶりと口を塞いでいた手に噛み付いた。



「ぷはぁ!ローさんん!何で邪魔するんですかぁあああ!!」



せっかくのチャンスを跳ね返したローに非難の声を上げる。
だが、そんな文句にローは知らん顔。



「俺の林檎をやる」



と、お皿の上にあったウサギ型の林檎を爪楊枝(つまようじ)で刺して、リーシャの顔の前に突き出してくる。
挙げ句の果てに「あーん」などと、すました顔で言ってくる始末だ。
リーシャは仕方なしに黙って口を開ける。
納得いかない表情のままムシャムシャと口を動かした。



「お、いいな、それ」



エースも便乗したいようだ。



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