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「あァ。モニターでは確実に進んでたみてェだけど……て、噂をすればだな」
シャチの目先にリーシャも顔を向ける。
「あ!ペンギン達だ!」
ベポが嬉しそうにブンブンと手を振る。
しかし、ロー達はベポに反応せずにどこかイラだった様子でズンズンと、エースの傍まで歩んできた。
「どういう事だ?サッチとか言う、ふざけた奴が俺達を牢屋にぶち込んだぞ」
ローの不機嫌な感情を逆なでするような笑みをエースは浮かべる。
「わりィな。俺の監視外なんだよ、あいつのルートは」
「監視外だと?あの男は俺達の案内人だと言っていたぞ」
ペンギンも帽子で見えない目をエースに向けている。
何が何だかわからないまま、リーシャはハテナマークを頭上に浮かべるしかなかった。
「もしかして、さっきの爆発はローさん達が起こしたの?」
リーシャの質問にローは「そうだ」と事もなげに答える。
先程の爆発といい、どうやらペンギン達もご立腹な出来事が起こったようだ。
リーシャはテーブルにあったレモンティーを飲みながら考えた。
クレーマーな二人の話から推測するに、サッチというマルコのような案内人がロー達を騙して牢屋入れたらしい。
それは試練ではなく嫌がらせなのか。
「明らかに嫌がらせだな」
「ペンギン、さりげに心中の疑問に答えないで!」
久しぶりに心を読まれたリーシャは、危うくレモンティーを吹き出してしまうところであった。
危ない危ない、と近くにあったハンカチで口元を拭う。
「全くもう……せっかく推理してたのに」
「その推理には、もう少し追加があるぜ」
ローが鼻を鳴らし、得意げに胸を張る。
「実はな、さっきの爆発は俺が牢屋をぶっ壊したからだ」
「やっぱりかぁ」
リーシャは、ありありと想像できる範囲で納得する。
それはそうだ。
爆発を起こせる人物など、魔法使いのロー以外に考えられない。
リーシャがあっさりと頷くとローは不満そうに眉を寄せる。
「なんだ、もっと驚いて欲しいものだな」
「だって、ローさんしかあんな芸当できないし」
「もっと感動しろ」
「無茶ぶり!」
相変わらずのアホさにリーシャは若干引いた。
それでもローは更に話を続ける。
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