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火の神殿の試練を受けた時、サッチと名乗ってきた男が案内人としてローとペンギンに口説明で内容とルールを述べてきた。
リーゼントの髪型に陽気な態度はエースの仲間だとわかりやすい。
不適な笑みを浮かべたサッチは突然ペンギン達を檻に入れると散々吐き捨ててきた。
「あんな――」思い出してもキリがない程色んな門番達に言われてきたのだ。
こちらにも飽きるという感情くらいある。
吐き捨てられたって今更というものだ。
自分勝手だと罵られても他にどうしろと言うのだろうか。
ペンギン達が自由を得られる時間も何も限られた中にある。
それを有効活用したっていいではないか。
そう正当化して彼女を騙したまま此処まで来た。









***








ペンギンは思い詰めた様に俯くと暫く動かなくなった。
シャチも意味がわからないようでPENGUIN帽子を覗き込んでいる。



「……行け」

「ペンギン!?」



叫んだのはシャチだった。
リーシャも驚いたがペンギンの決心に固まった顔を見て納得する。
きっと己を説得させたのだと。



「俺は退く。たが魔物が城内に野放しになっている」

「――俺達は手伝えねェけど教える事ぐらいは出来るぞ」



ペンギンの言葉に同化したシャチがリーシャに言う。
二人はリーシャに託す。



「ローさんを……魔王を救ってくれ」

「お前なら解放出来るかもしれん」



ペンギンの声にリーシャをはっきりと頷いた。
かつての仲間、今も仲間だった二人の願いを叶えたい。
役柄を放棄してまで勇者に賭ける事は自らの首を絞める事と同じだろう。



「ハンコックさんの時にも言ったけど……」



二人の目がリーシャを見詰める。



「強引にもぎ取ってでも――



皆に夢を叶えてもらいたいんだから当然!」



グッと握りこぶしを掲げるとペンギンとシャチが笑うのが見えた。
そうと決まればと二人は魔王がいる場所を教えてくる。
魔物はとめどなく現れるので気をつけろと言われた。







***








「じゃあ行ってくるね!」



ふりふりと全く緊張感のない笑顔で手を振るリーシャにシャチはやれやれと口元を綻ばせた。
隣にいるペンギンも静かに勇者を見送っている。
二人で彼女の道を塞いだ時は正直乗り気ではなかった。
だから、ペンギンが「行け」と言った時は至極目を疑った。



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