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遠くにいるベポにも声をかける。
「ベポー!見付かった?」
「見付かってないよー!」
少しだけ期待した分、ため息が出た。
「レアなものなのかな?」
マルコになかなか見つからない、と相談することにした。
教えてくれるかは不明だが。
「マルコさん〜……」
「見つからないか?」
「はいぃ。ていうか、あるんですか?」
「あるよい。確かに用意した」
「うぅー……」
リーシャが頭を悩ませていると、マルコが不意にヒントを一つ。
「お前の願いは何だよい?」
それがヒントかどうかはわからなかったが、マルコの目には冗談や軽い感情がなかった。
リーシャは意表をつく問いに目をパチパチと瞬きさせる。
「私の、願い?……うーんとですね」
悶々と考えてみたが、何も思い浮かばない。
「まだ、何とも言えないです」
リーシャの返答にマルコは予期していたように「そうかよい」と、あっさりと引いた。
マルコに助言を求める事を諦めることにしたリーシャ。
五つ葉のクローバーを見つけられたのは、実に一時間後の事であった。
***
「てめェ、どういうつもりだ。あ?」
ローは現在、不機嫌マックスの表情を浮かべ鉄格子をガチンと揺らした。
その様子を、さも楽しげに見遣る男。
「わりィな。お前らを自由にしたくない俺の心情を理解してくれよ」
ニヤリと笑みを浮かべる男は髪をリーゼントという特徴的なものだった。
「サッチ……という名も偽物か?」
ローと同じく鉄格子の中に囚われているペンギンが顔には出さないが、低く唸るような声音を発する。
「いんや、実名だせ?」
ゆっくりと顎を指で摩りながら目を細める。
リーゼントの男――サッチは鉄格子越しにいる二人を見つめながら足を進めた。
「ふん、何が試練だ」
サッチは、せせら笑う。
「お前らがよォ。腹が立つぜ……てめェらはそこで大人しくオネンネしてろ」
サッチは不適な表情で、不愉感と侮蔑の感情を隠し切れない声で吐き捨てた。
「なんだとてめェ……さっきから好きに言わせておけば、ふざけた事を抜かしやがって」
ローの低い低い、身も凍るような声帯が震えた。
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