51
そんな事を考えているリーシャを余所にマルコは向こうを見る。
「もう休憩できたようだし、行くよい」
「あ、はい」
「うぅ……また熱いの我慢しなくちゃいけないんだ……」
がっかりするベポを慰めながらリーシャ達は次に進んだ。
同じ風景しかない溶岩だらけの場所が、少しずつ変わっていく。
最初は岩しかなかったゴツゴツとしたものしかなかったが、ある境目に入るとそこは平原になっていた。
「一体、どうなってんの……?」
「急に熱くなくなったね」
ベポの言う通り熱くなくて、春のような風が身体に当たっていた。
花や草は青々としていて、平原は生き生きと風に靡いている。
二人が茫然と立ち尽くしているとマルコが口を開いた。
「ボサッとしていると、いつまでも試練は終わらねェ。次の問題が残ってるよい」
「え!」
先程の肩透かしレベルクイズで終わりだとばかり思っていたリーシャ。
マルコはそんな反応を気にせずに先を行く。
「ベポ、行くよ!」
「アイアイ!」
マルコに置いて行かれないように足早に追い掛ける。
「マルコさーん。次の問題って……わぶっ!」
質問しながら走っていれば、急に立ち止まったマルコの背中に顔を打ち付けてしまった。
「いてて……」
「出題するよい」
「あ」
「この平原で五つ葉のクローバーを探せ、よい」
まるで紙を読むように、事務的に口を動かすマルコ。
リーシャはワタワタとしながらも「はいっ、マルコ先生!」と挙手した。
「何だよい」
「四つ葉ならともかく、五つ葉なんて存在するんですか?」
「存在する。ただし、珍しいから見つけるのは難しいよい」
リーシャは、その言葉にへぇーと好奇心の声音を上げる。
(四つ葉って幸せだから、五つ葉は極上かも)
などと、夢心地に想像する。
「制限時間はない。自由に歩き回るといいよい」
マルコの言葉を合図にリーシャとベポは散り散りになって探し始めた。
最初のうちは近場で目を凝らしていたが、だんだんと範囲が広がり五つ葉は、なかなか見つからない。
(意外とないんだなぁ)
キョロキョロと五つの葉が付いたクローバーを探すが、全く見当たらない。
[ back ] bkm