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そこにはいつの間にか人影があった。
リーシャは驚きに声を上げる。
さっきまでは人一人いなかったのに。
「誰ぇ!?」
「気にしなくていいよい」
「気になるよ」
ベポが男の返答に間入れず言い帰した。
(っていうか本当に誰?)
「仕方ないよい。俺はマルコ、エースの助手みたいな仕事を受け持っている」
独特な語尾をつける男、マルコは独特な頭をしていた。
パイナップル、否……バナナかもしれない。
そんな果物を連想してしまう髪型をしていた。
ベポもリーシャと同じようにマルコを見下ろす目は頭に行っているようだ。
「エースさんの?……知り合いなんですか?」
髪型については触れないように慎重にマルコの顔を見た。
すると、マルコは頷く。
「あァ。お前らをお助けしろとな。全くあいつは俺にばかり仕事を押し付けるよい」
(愚痴ってる……)
ぐちぐちと文句を言ってはいるが仕事はちゃんとやるようで、真面目な人だと感じた。
「あの、マルコさん?」
「なんだよい」
「何かヒントをもらえたりするんで、しょうか……?」
「そうだよい。それが役目だからな」
「さいですか……して、その問題とは……」
「待つよい」
マルコはゴソゴソとズボンのポケットから何かを取り出す。
紙切れのようだ。
「じゃあ、出題するからよく聞くよい」
「はい……!」
ベポとリーシャは緊張にゴクリと喉を鳴らす。
あれこれと難しい難題だったら、と考えてしまい汗が流れる。
「パンはパンでも食べられないパンは?だよい」
「……パ、パン?」
「なんか簡単だね。リーシャ、わかる?」
ベポにも簡単だと言われる辺り、本当に肩透かしをくらう問題だった。
あまりにも低レベルである。
「わかるよ……。えっと、答えはフライパン」
「正解。問題に正解したから次のステージに行けるよい」
「次の?……あ!」
「橋だ!」
ベポが叫ぶ。
その通り、マグマがグツグツと噴き出す谷底のような割れ目の間に橋が現れた。
渡れということだろうか。
「行くよい」
「あ、わかりました……マ、マルコさん?」
「なんだ?」
「貴方も門番なんですか?」
「まァ、そんなもんだよい」
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