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「寂しくなったら呼べよ」
「呼ばないから安心して。ね?ベポ」
「アイアイ!リーシャは俺が守るよ」
「ベポ頼もしい!かっこいいよ!」
格好つけるローを軽く受け流すリーシャ。
ベポは大きな白い胸をドンと叩く。
「じゃあ行くか」
ペンギンの言葉を合図に二人一組はそれぞれの入口を潜った。
シャチはそれを恨めしそうに見送る。
「俺もやりたかったぜ……」
「飯食うか?」
「お前マイペースだなっ!」
モグモグと肉を頬張るエースにシャチは怒鳴りながらも渋々席に座った。
***
一方、入口を入ったリーシャとベポはというと――
「あ、また行き止まりだ」
「次はこっちに行こうよ」
「だね」
四苦八苦しながらもコースを進んでいた。
行き止まりに当たっては次に行く。
それを繰り返すのみ。
「なかなか難解だねぇ」
「うん。でも、今まで俺達は参加することなかったし、リーシャと一緒に試練を受けられて嬉しいんだ」
「ベポぉ……君って本当にいいクマだ……」
「え、そうかな?……えへへ」
ベポの素直な感想にリーシャは瞳を潤ませて感動する。
今になってさらに、仲間とはいいものだと感じた。
「だから、俺、ずっとこのまま旅が続けばいいのになって思っちゃうんだ……」
「そーだね……」
ベポが少し悲しげに笑うから、リーシャも俯く。
しかし、と顔を上げる。
「でも、だから今を楽しく過ごせばいいんだよ」
いずれ、を思い悲しくなるだけなら今の時間を悔いなく過ごせばいい。
そうリーシャは思った。
(私は皆が笑ってくれてればいいんだ……)
皆と旅をして笑っていられれば、それで充分だから。
「リーシャ……うん!」
ベポは下に向けていた顔を上げ、大きく笑顔で頷いた。
「さ、行こ行こ!」
気を取り直した二人は意気揚々と手を繋いで歩き出した。
いつまで続くのかは誰にもわからない旅路へと――。
***
所変わって、魔法使いと硬派な男チーム。
「こんなにノロノロとしていて大丈夫か?」
「あァ、なんせ魔法があるからな」
「リーシャ達が知ったら拗ねて怒るぞ」
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