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今さっきのこともあり、どこか緊張さに欠けているエースにリーシャは苦笑を漏らす。
(一番門番っぽくないなぁ)
本人が知ったら落ち込むだろうことを思い、リーシャは再び耳を傾ける。
「迷路を歩いてゴールを目指せ!だ」
「え?」
まるで台本を読むかのように述べるエースにリーシャはぽかんと見つめる。
リーシャの顔にエースはニカッと最高級の笑顔を向けて続きを言う。
「ルールは簡単だ。まず二人一組になってもらう」
「俺達は五人いるぞ」
ペンギンがそう告げるとエースは黙り込み「う〜ん」と唸る。
「じゃあ、俺と観戦しとくってことで」
「適当ー!?」
シャチの言う通り、確かに今閃いたといった感じだった。
エースの決定事項に五人は互いに目配せをする。
一人は残り、四人だけが参加しなければならない。
「あ、勇者は絶対参加しなきゃいけねぇんだったわ」
「私だけ強制的!?」
エースの追加事項にリーシャはガクリとうなだれる。
「じゃあ後は四人だな」
「じゃんけんすっか?」
残りの二人はローを見る。
ローは静かに頷いた。
そこまで真剣にしなくても、とリーシャは思ったが、四人は本気で決めると感じ取り黙っていた。
勝負の結果は意外な人物であった。
「わ〜い!一緒に頑張ろうねリーシャ!」
「うん!」
ベポになった。
ローは不満たっぷりな表情を浮かべていたが、喜ぶ二人は気にならない。
次に決まった組み合わせはペンギンとローだった。
一人あぶれたシャチは嘆く。
「なんか俺、いつも損な役な気がする……」
「楽しくしようぜ。はみ出しもの!」
「なっ!?はみ出しものとか嫌な響きすぎんだろうが!」
嫌がるシャチの肩を抱くエース。
それぞれ決まったところでエースが楽しげに指示を出す。
「とりあえず歩いてゴールするだけだ。頑張れよ!」
「短けぇよっ!」
シャチはつっこむがエースはそれに触れずどこかへシャチと歩き出す。
シャチが喚いていたが、リーシャ達は行くか、といつの間にか出現していた迷路の入口らしき場所を向く。
「にしても、何かありそうだな」
「ローさん達も参加なんて新鮮だねー」
話し掛けるリーシャに魔法使いのポジションの男はニヤリと笑う。
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