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「普通だ。これはお前にやる」
「え?いいの?」
嬉しくて聞き返せば頷くローさん。
たまにはいいことやってくれるね。
「えへへ、ありがと」
「口移しがいいって?」
「あ、フォークが滑った!」
ザク。
ローさんのセクハラ発言に私の手が勝手にローさんの手の甲のど真ん中を定め、いつの間にか手からフォークが落ちていた。
すごいやー。
私ってサイコエスパーの才能持ってたんだ。
「わざとか」
「えー?なんのことだかわかんないです〜」
シラを切ればローさんの呟きが私の耳に届いた。
「そっちがドSなら俺はドMを極めるか」
「ペンギン、この人を今すぐお鍋に突っ込んできて!」
口が減らないなら縫い付けてしまおうか。
そう考え、口にすればきっとまた「ドSだな」と言われるのだろうと想像できたのでやめておいた。
そんな感じで騒がしくもお腹いっぱいの昼ご飯を終える。
「ふぅ〜!さてお腹も膨れたし、次の場所に向かう?」
「そうだな」
ペンギンが頷きコンパスを取り出した。
「結構近くじゃね?」
シャチがコンパスを覗き込む。
それにローさんが行くか、と歩き出した。
ちょ、一応それ私の台詞なんですけど……!
私を差し置いてローさん達はスタスタと進む。
所謂コンパスだ。
「次はどんな神殿なんだろね?」
「付いてからの楽しみだろ」
ローさんがニヤリと愉しそうに笑った。
なにがそんなに……、とローさんの心理がよくわからない。
そう考えている間にペンギンが持っていたコンパスを見てある方向に指を指した。
「針はあの場所を指している」
ペンギンの指を辿り、それを見た瞬間、自分の顔が引き攣るのを感じた。
「火山んんん〜!?」
グツグツと炎とマグマが燃えたぎる山。
見るからに熱い。
まさかまさかとペンギンに目で問い掛けるが、
「ここだな」
「死ぬ〜!!」
地獄に放り込まれたような心地がした。
無理無理無理無理!!
いきなり試練のレベルがアップした気がする。
「行くぞ」
「私残るっ……!」
「リーシャって熱いの嫌いなの?」
「もはや嫌いとかいう次元じゃないからぁ!」
呑気に首を傾げるベポに涙ぐみながら訴えた。
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