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夢を見た。
まだ私が小さかったときの夢。
現実か幻かわからない世界で夢を見るのは、変な感じがする。
でも、おかしなことに、私を見ているという映像のような。私視点な夢ではなくて、傍観しているのだ。
何かを通して見ているような感じがする。
私は夢なのだから、特に気にすることはないと思った。
「リーシャ、起きろ」
突然、夢にローさんが現れた。
どうしてここに。そう言うとローさんは呆れたようにため息をつく。
「寝ぼけてんのか。そんなに無防備だと襲うぞ」
「NOOOO!!!」
不吉でセクシーな声に私は布団を跳ね飛ばし、盛大に起き上がる。
目をガッと開けると、ローさんがニヤニヤと笑いながら私を見ていた。
「なんだ、もう起きたのか」
「起きるっ!あんなこと聞こえたら!!」
「あんなこと?」
「意地が悪すぎ、せっかく……気持ちよく眠ってたのに」
「寝過ぎだろ。もう昼だ」
「嘘っ!?」
ローさんの言葉に私はベッドから降り、クローゼットへ向かう。
「まさか寝坊だなんて!」
「疲れが溜まってたんだろ」
「でもでも!朝食食べ損ねたっ」
私がローさんに嘆けば、ローさんはすくりと立ち上がった。
「な、なに?」
「着替えるんだろ?」
「そうだけど」
「じゃあ、思う存分脱げ」
「え……?」
ローさんの言っている意味がわからない私は、頭上にハテナマークを揺らした 。
そんな私の様子にローさんは声を出して笑う。
「見てもいいのか?着替え」
「なっ……駄目に決まってるからっ!!」
まさか、その為にこの部屋に留まってたのか。
そうだとすれば、
「変態道まっしぐらだねローさん」
「フッ」
なんで嬉しそうに笑うのぉ!?
ちょ、この人早いとこ病院連れていかなきゃ。
「あとで脳外科医に行きましょうね」
「リーシャ、お前の発言は相変わらずツンデレだな」
「どこをどう見てツンデレに見えたんだろ。不思議」
ローさんが頷いている間にドアの外へ押し出す。
いつも思うけど、ローさんって黙っていればイケメンなんだけどなぁ。
「とにかく出ていってね」
「しょうがねぇなァ」
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