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巨体さんが説明してくれた、コンパスが示す方角へ歩けばいいという言葉に私達は次なる神殿へと進んでいた。



「なんて三蔵法師じゃあるまいし」

「独り言か、やめといたほうがいい」

「痛い子みたいな目をしないでペンギン」



少し思ったことを口に出しただけなのになんだこの扱いは。
ローさんも隣でくすくす笑ってるし腹立つな!



「あ、町だ!」

「ベポはもうこの台詞を言う役目を担っているんだと受け入れるよ」



幾度となく一番最初に何かを発見するのはベポの役目だよね。ここは温かい目で見とこう。
私がうんうんと頷けばシャチが「けっこう盛んそうだぜ?」と言う。



「あれ?このマーク……」

「温泉のマークだな」

「観光地みたいなもんだな」



ローさんの温泉マーク発言で確信に変わった私の予想はまさかの温泉観光地だった。
なんで温泉マークが、とかこの世界はあべこべなのかと感じた。



「とりあえず宿を取ってしまおう」

「「「賛成〜!」」」



ペンギンに挙手しながら早く体を休めたいと気持ちが先に行くのを感じた。









***








「ふぅー……疲れたぁ」



一人ベッドにダイブして一息つくとガチャリと音がした。



「鍵かけとけ無用心だぞ」

「そうだね。でもノックなしにいきなり開けるのもどうかと思うよ」



真顔で注意を促すローさんに私も冷めた目を向ける。けれど本人はしれっとした態度で部屋に入り扉を閉めた。



「疲れたか?」

「うん、もうクタクタ」



寝そべったまま答えれば笑うローさんの声が聞こえた。



「今日はゆっくり休めよ」

「え」

「なんだ?」

「ううん!なんでもないっ」



悟られないように首を振れば怪訝そうに私を見たローさんはそのまま扉を閉め去っていった。
ふう、と安堵の息を漏らせば私はローさんのセクハラがなかったことに再び疑問に思う。
あのローさんが何も言わず「ゆっくり休めよ」なんて……。



「ローさんもきっと疲れてるんだよね」



私は自己完結させると睡魔に身を任せゆっくりと目を閉じた。



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