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「ん………」
「!、リーシャっ」
「ベ、ポ……?」
眠りから覚めるような感覚がするとベポの泣きそうな声にゆっくりと目を開ける。
「リーシャ〜!」
「ぐぅえええ!!」
ベポの巨体が抱き着いてきた為にありえない力で首が締まり苦しい。
「ぐるっしっ……」
「ベポ離してやれ、死にかけてる」
「あ、ごめんなさい……」
ローさんに言われ私を解放したベポはズゥーンと落ち込んだ。
「いいよベポ……それにしても、私試練合格したって言われて……」
夢が本当の出来事だったのか半信半疑で呟いていれば後ろから呆れた声がした。
「勇者よ。かの者が呆れていた」
「わ!き、巨体さん!」
そこには最初にいた番人がいつの間にか立っていた。
ていうか、呆れてたって……。
「当たり前の事を聞かれたから素直に答えただけなんですけど……」
「そうか……」
諦めに似た表情をしながら番人は手を広げ光を発した。
するとそこにあのクリスタルとうり二つのものが出現し私達は驚きながら見る。
「このクリスタルは魔王の居場所が書いてある地図の鍵」
「鍵?」
「このクリスタルを残りの神殿に行き試練を乗り越え全てを得ると魔王の場所に行ける」
番人の言葉にえっ、と首飾りのクリスタルを見る。
「じゃあ……」
「やることは決まったな」
「クリスタルを集めればいいんだね!」
ローさんとベポが言うと番人は詳しくこれからの事を説明し始めた。
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