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――ここは、どこ?


暗闇が支配する場所に私一人がポツリといるだけ。



「ローさーん?ペンギーン?ベポォ、シャチー!」



どんどん不安になっていく私は皆の名前を呼ぶが何も返ってこなかった。



「なんなの一体……」



本当に私だけ残されたようだ。



「暗いし怖いよ……」



ひ弱で軟弱な私にはどうすることもできないままため息をつけば、何かが視界に入ってきた。



「誰っ!?」

「私だよ」

「………え!?」



暗闇から姿を現したのは私とうり二つの私自身だった。


――ドッペルゲンガー!?


――私見たから死んじゃう!


迷信に怯えていれば‘私’は笑いながら話し出す。


笑い方までもが私そっくりだ。



「私は弱いでしょ?」

「え、今更?」



突然何を言い出すのかと思えば当たり前の事を言う‘私’。



「だからローさん達の足手まといになるの」

「いやわかってるんだけど」

「じゃあ勇者を止める?」

「やめていいの!?」



嬉しくなって答えればもう一人の‘私’の表情が面白くないとばかりに歪んだ。



「貴方嬉しいの?」

「だって勇者になんてなる気なかったし」



とうとう本性を現したもう一人の‘私’は悩ましげな難しい顔で私に詰め寄る。



「もうわかったわ……」



すると‘私’はため息をつきながら諦めたように手をヒラヒラとさせると「降参」と言った。



「試練には合格でいいわ」

「試練?これ試練だったの?」

「そうよ」



それは全く知らなかったと私は驚いていると‘私’は表情を無表情にし、こう言った。



「ただしこれだけは忘れないで」

「?」

「貴方の存在で‘自由’を得ている者がいるということを……」

「自由って……あのケンタウルス、とか?」



なんとなく当て嵌まった言葉に‘私’は頷く。



「その者もしかりよ。さぁ仲間の元へ戻りなさい」




‘私’は優しく微笑んで私の肩を押す。
地面に打つ!と感じるのもつかの間で、痛みはなく代わりに意識が沈んでいくのを感じた。



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