その言葉と共に私達の周りが吹き荒れる。
「っ……何!?」
みるみるうちにその風は私を一人にし、意識を失った。
***
「リーシャ!?」
吹き荒れていた風が止むとベポの驚いた声が一番に入ってきて彼女がいる場所を見てみればリーシャが倒れていた。
「どうしたんだよ!」
シャチがリーシャを抱き上げるが一向に目を覚まさないことに俺は番人に問い掛ける。
「なぜ目を覚まさない?」
ローも押し黙ったままさっきからリーシャを見つめているのをチラリと一瞥してまた番人に向き直った。
「彼女に試練を与えたからだ」
「俺達は?彼女にだけか?」
「待つのも試練のうち。それに試練など受ける必要性がないのはお前達はよくわかっているだろう」
番人の言葉に俺はただ見守るしかないのか、と思い意味深な問い掛けにもはや言えることはなかった。
「ロー」
「あァ。待つしかねェだろ」
例え俺達の旅の終わりが用意されていたとしても彼女のおかげで限りない自由を手に入れられたのは俺以外の全員もよくわかっているだろう。
「にしても番人はやはり知恵があって厄介だな」
「世界が与えた宿命よ」
番人はそう言うとフッと霧のように消えた。
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