03
「魔王ぶっ殺す」
ベポはガタガタと震え、リーシャはフフフ……と笑いながら足を進めて行った。
***
所変わって森をやっとのことで抜けた二人。
「ふー。魔王まだかな〜、あ、チェーンソー持ってくればよかったなー」
「ア、アイ〜」
ふと、なにげに恐ろしい言葉を言うリーシャにベポは引き攣り笑いをするしかなかった。
「ん?泉?」
少し行くと水が綺麗な泉が見えた。
「わぁ!おれ喉カラカラだったんだよね!」
ベポが大きな足音を立てながら泉に近づく。
「私も!疲れたしちょうどいい……!」
リーシャも水を飲もうと背を屈ませた時、泉の真ん中からプクプクと泡が浮かんできた。
かと思うと、突然ペンギンと書かれた帽子を被った人が現れる。
「よくぞ来た旅人……なんでそんな嫌そうな顔をするんだ?」
「いや、普通泉から現れれば……ねー」
「なにを言う。おれは人間だ」
「そんなん見ればわかります、ちょ、ベポ!この泉ばっちいから飲んじゃ駄目!」
水を飲もうとしていたベポをこちらへ引っ張る。
「わわ……水ぅ〜」
「後で探すから大丈夫だって」
涙目のベポを宥めていると泉から出てきた変質者に目を向ける。
「ば、ばっちいって……おれは汚くないぞ」
侵害だという男性に私も反論する。
「ばっちいもんはばっちい!誰だって人が入った水なんて飲みたがらないです!」
「え、おれは……だいじょ」
「ベポ頼むから黙ってね」
「アイ……」
ニコッと圧力をかけベポを黙らせるリーシャにペンギン帽子はふむ、と何か考えるように顎に手をかけていた。
「なるほど、先程の電話は……」
こちらも怪しい呟きをしてくれるよね。
リーシャは先程のベポ同様にジトリとペンギン帽子を疑視した。
「あ、や、すまない……話が逸れたな」
「本当にー。っていうか本当に貴方誰ですか?」
「おれはペンギン。この泉でお前を待っていた」
「名前まんまじゃん。ていうか、まさかのストーカー?」
「断じて違う」
ここまできっぱり言われると腹立つな。
「じゃあ金の斧銀の斧でもくれるんですかー?」
「なにも落としてないだろ」
「じゃあなんで出てきた!?」
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