26
からかう時のこいつの反応が面白く、一々何かと期待を裏切らないリーシャを見ながら俺はレストランで注文したスープを飲む。
ミネストローネとか言うトマトが利いているスープだとか。
リーシャに舌が肥えていると言われなかなか鋭いな、と喉をくつくつと笑わせる。
レストランで注文表を見た時に「ローさんどれにする?」という言葉に「お前」と言うと真っ赤なこのミネストローネのように顔を赤くした。
その後は「からかわないでよもう!」と恥ずかしがっているリーシャに俺は再び笑う。
冗談は半分どころか、一つも言ったつもりはなかったが――。
「なァ」
「なぁにローさん」
ナポリタンを食べるのに夢中なこいつ。女でナポリタンを食べるのを見たのは初めだ。口の端に付くとかいう理由で食べる女は今まで一人もいなかった。
しかし、こいつが食べているのを見ていると全く不快感なんてものはなく、反対に愛らしいと感じた俺。
「俺が加入するまでの旅の話しを聞かせろ」
「また命令……別にいいよ!」
苦笑いしながら頷くリーシャ。
実はすべて知っているのだが――なんて事は言わずに俺はこいつの話しに耳を傾ける。リーシャ自身が感じたことを知りたくなったからだ。
***
「はぁぁ〜、お風呂お先でした!」
「さっぱりしたか?」
「うん」
ペンギンが新聞を読みながら尋ねた。
「じゃあ次は俺と運動して汗流「次はベポの番だよ」
ローさんにイケナイ発言を最後まで言わせるか、とにこやかに大人の対応をした。
久しぶりだな大人の対応。
私はローさんをスルーして宛がわれた借り部屋へ足を進める。
「……なんでローさんまでドアに?」
「お前と寝ようかと」
「お休み!」
ひくりと引き攣り笑いを必死に浮かべながら俊足で扉を閉めた。
[ back ] bkm