20
ベポと盛り上がりながら私は宝箱をゆっくりと開けた。
――ガチャリ
金属音を響かせながら覗いた代物。
「これって……何?」
それは瓶に入った怪しい液体だった。
「それはポーションだ」
「!!――これが有名な!?」
ポーション――よく冒険モノのゲームに登場するHPを回復させたりする万能薬の一つだ。
「わぁ……初めて見た……」
「初めて?あァお前って世間知らずなんだなァ」
「失礼な!シャチみたいに下品な人間よりマシ!」
「お前の方が失礼だな!?」
シャチがギャンギャン言ってるけど、今はポーションをまじまじと観察。
「万能薬かぁ……じゃあローさんが管理するのに適任だね。魔法使いだし」
「あァ。お前がピンチに陥ったら使ってやらないでもない」
「やっぱり私が持っとく」
真面目に言えばローさんは笑ってちゃんと使ってやる、と言って私からポーションを引っつかんだ。
上から目線なのが納得いかないけど、まぁ今回は我慢するとしよう。
***
「な、なんか陰湿な雰囲気な場所についたけど……」
なんかツルが生い茂ってるし、怖い。
「大丈夫か。なんなら俺に抱き着いても――」
「ベポ、私を守ってね」
「………」
ローさんがなんか言ったけど、スキルでかわした。
私最近スキル増えたな。
勇者だから?
そんな感じでベポに引っ付いていると突然地響きが起こった。
「きゃあ!何ぃ!?」
驚いていると地響きは止み、代わりにドスンと何かが落ちて来た。
「ケ……ケンタウルスーー!?」
まさかまさかまさかまさかまさかまさかまさか!!
「ボスだな」
「ボスだよな」
「ボスだ」
「中ボスかな?」
上からペンギン、シャチ、ローさん、ベポで言葉を発した。
「なんでそんな他人事なの!?」
ボスなんて言われなくてもわかってるから!
そんな私の焦りに四人は余裕しゃくしゃくで武器を構える。
あ、やっぱり戦うんだ……。
「こん棒でしか無理だよ……」
ただ侵入者は私達で向こうは番人なだけなのに。
わかってるけど、わかってるけど私達が悪いのだ本当は。
けれど戦わないとこちらがやられる。
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