17
「う〜ん……」
目覚め始めた脳に私は二度寝を決め込もうと寝返りをうった。
けれど
「う、うぅん?」
動かない、身体が。
金縛りか!
と思い目を開けた目に映った腕。
「なんか、刺青?これ」
呂律が回ってない口で言うと違和感を感じた。
「私の、じゃない……」
腕を辿り、顔を動かす。
「……ぎゃーー!」
色気なんて気にするか!
なんで
なんで
「ローさんがいんのぉ!?」
うわ、なんかこんな感じ前にもあったよ。
ローさんが初登場した時だ。
私の声にローさんはパチリと目を開けた。
「……うっせェな」
「こっちが先に言いたいんですけど!?」
失礼な!
勝手にベッドへ潜りこんでいたのは貴方だろ!
「なんでベッドに!?」
「寒かったから」
「ベポいるでしょ!」
「潰されんのがオチだろ」
確かに!
「だからってなんで私……」
「抱き心地がいいからだ」
と言って私の太ももをスルッと指先で撫でられた。
「ひゃっ!」
ななな何これ〜!
この物語って冒険モノであって恋愛とかそういうフラグ立たないんじゃないの!?
「甘いな」
「また心をっ!」
反論しようとしたけど私の耳元でテノールの声が鼓膜に響いたことでできなかった。
「お前を絶対逃がさねェ」
何から、なんて聞けなかった。
だって、ローさんの表情が妖艶だったしなにより、
「い、意味わかんないです!」
優しげな目をしていたから。
***
「なんかあの人とリーシャギクシャクしてね?」
「あの人はいつもと変わらんがリーシャは落ち着きがないな」
「きっと何かあったんだね!」
三人の会話がバッチリと私の耳に聞こえてるから。
そうですよ気まずいですよ、悪いですか?
「俺は気にしてない」
「私は気にする人間だから!」
ニヤリと笑うローさんにすかさず言った。
しかしそれすらも楽しそうに笑う。
一体何が面白いんだか。
そんな風に思っているとベポが叫んだ。
「あそこに洞窟があるよ!」
また見つけたのかベポ!
凄いよ、もうなんか探知器並の働きしてるよ。
「馬鹿なこと思ってないで行くぞ」
「ローさんまで調子乗り始めたよ。殴っていい?」
「犯されたいのならな」
「すいませんでした」
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