01
普通の生活をしていた
普通の平凡な私
ある日起きたら
勇者になっていました。
***
「勇者様!」
「勇者様!どうかこれを!」
「あ、ありがとうございます……」
困った。
というか困る。
「私、勇者じゃないのに……」
なんて呟いてみても
「なにを言っておられるのですか!シャーマン様が言われ予言なされた貴方が選ばれし勇者様なのです!」
するとよぼよぼなお爺さんが登場。
「わたくしが神から授かった言葉。貴方が倒れていた場所、服装全てがそのお告げ通りでございます」
えぇ〜、やめてよそういうのぉ!
私普通の学生なんですけどぉ!
しょんぼりとげっそりとした表情でシャーマンとやらを見るが気付いてくれる傾向なし。
うん。
どうする私ぃー!?
次回に続く
なんてわけなく。
私は剣と盾とマントを装備された。
なに?
私にドラクエをしろってか?
「魔王を倒してください!」
「あやつは危険な奴。これ以上我らは耐えられない!」
まじっすか。
本当に魔王キター!?
「いやいやいやいや、私普通の女の子ですよぉ!?」
私は叫んだが村人全員が笑顔で送り出した。
「地図とかいらねぇー!」
やること書いて後は人任せって!
「もう最悪……路頭に迷うよ私……」
もう腹を決めるしかないのか。
「できるわけないし……」
数日前までただの学生だった自分に魔王など倒せるはずがない。
でも、やるしか選択はないようだ。
後ろを向くとまだ笑顔で手を振り続けている村人達。
「はぁぁー……」
長いため息に私は重い一歩をまた踏み出した。
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