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「クッ……」
後ろから笑った声が聞こえ私は振り向いた。
そこには、
イ、イケメンだ!!
整った顔立ち。
両耳には二つずつ付けられたピアス。
両腕にはビッシリと施された刺青。
目の下には濃い隈があり、顎には少しの髭。
ふかふかなアニマル帽子と何故か長すぎる長剣をもったお兄さんがいた。
やばいイケメンだよ。
乙ゲーとかで人気でそうな人だよ。
心底モテるんだろうなー。
「おもしれェもん見せてもらったよ」
「あ、じゃあ見物料もらえます?」
木箱座ってるしね。
「フフ……確かに言ってた通りだな」
「はい?」
なにこの人。
危ない人?
「こっちこないでくださいね」
危ない人から五メートル離れる。
「なぜだ?」
「知り合いに怪しい人には近づくなって言われてるんで」
もちろんペンギンのことだ。
「ほォ……だが、俺は怪しいもんじゃねェよ」
「嘘吐け」
おもいっきし怪しい言葉呟いただろ。
「ではさようならー」
「まァ待て」
「嫌」
コンマ一秒で否定し私は走った。
そりゃもう死ぬ気で。
だって、
だって、
「なんで追いかけてくるのー!?」
後ろ見たら優雅に追いかけてきてた。
普通イケメンに追いかけられるなんてシチュエーション乙女の夢だけど、なんかあの人、
怖いわ!!!
「ベーポ〜!!!」
集合場所にいたベポに飛び付いた。
「わ!リーシャ?」
驚きながら抱き留めてくれた。
相変わらずフカフカぁ……。アリエール使ってんのかな?
「なわけないだろ」
あ、シャチいたのか。
「おまっ!心の声がだだ漏れなんだよ!」
涙目で訴えるシャチに少し罪悪感が湧いた。
「ごめんごめん。あ、あの人どうにかして!」
忘れるところだったぜ。
「え?誰……!!!」
シャチとベポは私がさした方向に顔を向けると驚いた表情をした。
うん分かるよ。
あんなイケメンがこっちに走ってきてるんだもの。
「あ、あれは……」
「な、なんで?」
「え、二人とも知り合い?」
「や、知り合いっつーか……」
「曖昧な言い方されてもこっちが困るよ。とりあえずなんとかして」
「俺止めらんねェよ……」
「アイアイ、俺も……」
まじか!?
「こんなときは、ペンギ〜ン!!」
「呼んだか」
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