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そして、ずっと見ているうちに彼女に惹かれていき――この世界に引き込んだ。
しかし、神の悪戯の如く皮肉なのか勇者として選ばれてしまった。




勇者の名は、リーシャ。
元気良く翔けるその姿を見るのが日課になっていた。
世間ではストーカー云々と言われるかもしれないが着替えなど私生活は絶対に覗かなかったし、たまに見る程度だ。
しかし、見るだけでは物足りなくなった。
まさか勇者に選ばれてしまうなど予想外の出来事で。
他にも勇者候補はキープされていたはずなのに。
そして、ローは勇者の敵である魔王。
完璧な壁が隔てられ絶望した。
だが――その時、良い事を思いついたので自分の支配下としている腹心達を呼び集め勇者の仲間として紛れ込む策を企て実行に移す事にした。
最初はあまり不審に思われにくいベポを送り込む。
その次はペンギンだった。
最初は全く乗り気じゃなかったペンギンはローに「愚かだ」と一言忠告をしたのだが聞きたくなんてない。
シャチにも団子屋になって上手く潜り込むように言うと涙目で「なんで俺だけ!?待ち時間ハンパないっすよー!」と嘆いていた。
最後を閉めるのはローになり、あの時に出会うように計ったのだ。
ガラの悪い男に絡まれていたからそいつを八つ裂きにしてやろうと思ったが何故かサインをねだっていたのでずっこけそうになったのを今でも覚えている。
本物の彼女に会えた喜びで追いかけて反応を確かめたかった。
本当は抱きしめて「会えて嬉しい」と言いたかったが相手は勇者なので世界が許さない。
もう離さない、もう逃がしたくないと思った。
旅で番人達がロー達を蔑む視線を投げかけてきたがどうでもいい。
勇者と終わりの見えているシナリオを一緒になぞられれば。
番人達は全員がロー達の正体を知っている。
一番肝を冷やしたのはサッチとドンキホーテ・ドフラミンゴ、ハンコックだった。
危うく五人の旅を邪魔されるところだったのだ。
ドフラミンゴはリーシャを率いれようとするし、ハンコックはローをリーシャに誘惑させようとした。
あまつさえ、世界を壊そうと馬鹿馬鹿しい事まで誘ってきた。
世界にロー達が勝てるわけがないのに。
魔王でさえ運命というシナリオを曲げる事も書き換える事も出来ないのだ。
一番鎖が緩むような開放感を感じたのはリーシャが眠っている時の表情と照れた顔だった。
愛しいと、禁断の感情が胸を締め付ける。



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