05
クルー達がそんなことを話している間、ローはというと夜になったばかりの町を露出した服をきた女と腕を組みながらホテルへ向かっていた。
船で生活する男達にとってはまいどお馴染みのことである。
「船長さんってモテるでしょう?」
「まあな……」
ローは機嫌が良いらしく女の質問に答えていた。
すると前のほうで見覚えのある背中が見えた。
「おい」
「えっ、わっ!ト、トラファルガー・ロー!」
その人物とはリーシャだった。
「な、なんで…」
「何見てんだ?」
彼女にローが声をかけた時にサッと隠した物を取り上げた。
「あ!だめ!」
彼女の声は虚しくローはそれを見た。
「手配書?」
それは自分の顔が写っている手配書だった。
「なんでこんなもん持ってんだよ?」
俺の質問にリーシャはばつが悪そうに呟いた。
「…………から」
「……聞こえねェ」
「っ…金額が上がってたからって言ったの!!」
リーシャはそういうとプイッとそっぽを向いた。
彼女にそう言われて手配書を見てみると一億二千万Bだった懸賞金が一億五千万Bになっていた。
「ほぅ……さすがだな俺」
いつもなら真っ先に突っ込むリーシャが何も言ってこないことを不審に思った俺は手配書から目を離してリーシャを見た。
「おい……」
リーシャは下を向いていて表情が見えなかった。
「なに…?」
「今日は妙におとなしいじゃねェか」
「そう?」
リーシャは一度目を伏せると俺を見た。
「早くあそこにいる綺麗な女の人のところに行ってあげたら?私はもういくね」
リーシャはそういうと俺と反対の方向に歩いて行った。
「なんなんだ一体?」
ローは眉を寄せながらリーシャが歩いていく姿を見ていた。
すると女が腕にスルリと絡めてきた。
「船長さん、今の子はなあに?」
「あ?あいつは……」
俺はそこで言葉がでなかった。
あいつは賞金稼ぎで俺は海賊。
友人でもないし仲間でもない。
傍から見れば俺達の関係は変わっている。
じゃあ一体なんなのか?
あいつのさっきの顔が頭から離れねェ。
「……気が変わった」
「え?」
俺は女にそう言って金を渡すとリーシャが行った方向に走り出した。
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