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34

「ROOM」

もう何度聞いたかわからない声にリーシャはぐらりとなった体を起き上がらせた。
そこには見事にバラバラになって驚きに叫ぶ男達がいて、その真ん中にはこれでもかというくらい愉快そうに笑っている死の外科医がいた。

「な、なんで……」

ここにいる理由が

助けた理由が

わからない。

「たく……お前はまだ病み上がりなんだぞ」

「っ……」

トラファルガー・ローに体を持ち上げられ立たせられる。

「聞いてんのかリーシャ」


「……もう……」

「あ?」

リーシャはローの手配書が二億になった時、もう潮時だと感じた。
ずっと追ってきたハートの海賊団もローも最初は自分と同じ位置だったのにいつの間にか距離ができてしまった。
置いていかれる感覚に女としても差があるのに、これ以上は無理だと悟ってしまう。
おまけに今回、ついに助けられてしまった。
こんなのは、こんな感情は賞金稼ぎとして失格だ。








「もぉ!!もう貴方達を追うのを辞めるっ!!!」


リーシャは涙を零しながら叫ぶ。

彼女の叫びに目を見開くロー。

しかし、次第にその目は怒りの感情が見えてくる。

「ふざけんじゃねェ……」


「ふざけてない……いたっ!」

リーシャの手を掴み壁に打ち付けるロー。

「俺がどんな思いをしてお前を見てきたか知ってんのか!俺達を追うのを辞める?今更なに言ってんだ、俺は許さねェ……!」

苦しげに怒鳴るローに次はリーシャが目を見開く。

するといきなり乱暴にリーシャにキスをしてきた。


「ん!ふっ……!」

息さえできない程の口づけ。

前にされたキスとは比べものにならない。

「やっ!」

「離さねェ」

男と女の力

ほらやっぱり敵わない


「いきなり、何すんの!」


何度もキスされる意味がわからない。

「お前が鈍感だからだ」

「え……」

リーシャがほうけているとローはそっと手を離し、ゆっくりと背を向けた。

「もし、これでもわからねェなら――」

ローを見ると太陽の光が反射して目を細めたリーシャ。


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